Research Abstract |
イソプロテレノールをラット腹膣内に投与し, 心筋を取り出し, 燐脂質をシリカゲル上で展開し, TLCアナライザーを用いて水素イオン化法により定量し, ポテンシオメーター記録器で記録計算した. 分析した燐脂質はカルジオライピン, ホスファチジールエタノールアミン, ホスファチジールコリン, スフィンゴミエリン, リゾホスファチジールコリン等であった. この系には前もってホスフォリパーゼA_2の抑制剤であるメパクリン, β-ブロッカーであるプロプラノロール, Ca^<++>拮抗剤であるニフェジピン, ジルチアゼム, ベラパミール等を投与し, カテコーラミン心筋症発症の機序としてのホスフォリパーゼA_2の活性化, β-レセプターの過剰刺激, Ca^<++>の心筋内への過剰流入のうち, どれが主要要因であるかを検討した. 1.ラット心筋より6種の燐脂質, カルジオライピン, ホスファチジールエタノールアミン, ホスファチジールコリン, スフィンゴミエリン(リゾホスファチジールコリン, ホスファチジールセリン)が明瞭に分離検出された. 2.イソプロテレノール群において, 心重量/体重比, 単位心筋重量あたりの蛋白量, ホスファチジールセリン, リゾホスファチジールコリンが有意に増加し, 単位蛋白量あたりのCK活性, 単位蛋白量あたりの総燐量, ホスファチジールエタノールアミン, ホスファチジールコリン, スフィンゴミエリンが有意に減少した. 3.ニフェジピン, ベラパミール, プロプラノロールは上記のすべての変化を抑制し, クロールプロマジン, メパクリンは心重量/体重比, 単位心筋重量あたりの蛋白量の増加以外のすべての変化を抑制した. 以上の結果より, 本心筋障害の発生, 進展に関して, Ca^<++>の心筋細胞への流入と, それに続くホスフォリパーゼA_2の活性化が重要な役割を果たしていることが示唆された.
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