Research Project
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
本年度は本研究の最終年度として、試作に成功した四ツ窓付きレ-ザ-フォトリシス高圧セルを用いて、ヘム蛋白質の酸素、一酸化炭素の再結合反応速度の圧力依存性に関する詳細な測定実験を行った。本年度は特に、単離したα鎖、β鎖(ヘモグロビン)とCOの結合反応の圧力依存性を詳細に検討した。α、β鎖のCO結合体にレ-ザ-光を照射すると、COが解離した後ヘム鉄に再結合する。このCO再結合反応はナノ秒およびミリ秒の二つの時間領域で観測され、それぞれCOが蛋白質内部再結合する反応、COが蛋白質外部(溶媒)から再結合する反応に対応している。先ず加圧に併ってCOは蛋白質内部で再結合する割合が大きくなった。各素過程の圧力依存性からこれら素反応過程についての活性化体積が見積られた。これより、α、β鎖ともにCOが蛋白質内部に入る際には一旦体積が増加した後、減少することが分かった。この反応に伴う体積変化は、昨年度行ったミオグロビンと酸素の結合反応にも観測されており、ヘモグロビン、ミオグロビンに共通した挙動と考えられる。また、α鎖とβ鎖を比較するとの鎖の方は1モル当り16cm^3だけ体積が増加した後、11cm^3減少する。それに対し、β鎖の方は12cm^3増加後、7cm^3減少とα鎖の方が変化量が大きいことが分かった。このようなα鎖とβ鎖の違いはヘム近傍構造の違いを反映していると考えられた。
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