がん細胞における染色体の不安定化と再配列に関与する因子の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
63010081
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
瀬野 悍二 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 教授 (30076989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 秀雄 放射線医学総合研究所, 遺伝研究部, 主任研究員 (40163795)
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90127598)
鮎沢 大 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (00142109)
安藤 俊夫 明治薬科大学, 衛生化学, 教授 (20012693)
石田 良司 愛知県がんセンター, 研究所, 主任研究官 (50150214)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥14,300,000 (Direct Cost: ¥14,300,000)
Fiscal Year 1988: ¥14,300,000 (Direct Cost: ¥14,300,000)
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Keywords | 染色体異常 / 姉妹染色分体交換 / 温度感受性変異株 / ヌクレオチドプール不均衡とDNA切断 / O^6-メチルグアニンと突然変異 / DNAトポイソメラーゼ / カンプトテシン / DNA高次構造 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
1.ハムスターCHO細胞から染色体異常あるいは姉妹染色分体交換を誘発する温度感受性変異株を分離した。得られた25株は13相補性群に分類され、複数の遺伝子の変異が染色体異常や姉妹染色分体交換に関与することが示された。また、これらの変異株はS期に停止点をもつことから、染色体の安定保持にはDNA複製の正常な進行が重要であることが示唆された。 2.マウスFM3A細胞をチミン飢餓におくと染色体DNA2重鎖切断が特定の領域に起こり、急激な細胞死が誘発される。今回、この現象がチミン飢餓に特異的なものではなく、dNTPプールの不均衡をもたらす処理に共通のものであることを示した。すなわち、dAdo等タボヌクレオチド還元酵素の阻害剤によっても起こった。また、このDNA切断には未知エンドヌクレアーゼが誘導されることを試験管内反応で示した。 3.動物細胞においても大腸菌で知られているのと同様に、DNAのアルキル化によって起こる修飾塩基の中のO^6-メチルグアニンが突然変異に関与すること、及び組換えに関わっていることを、同塩基を特異的に除去するO^6-メチルグアニントランスフェラーゼに関する変異株を用いて実証した。 4.DNAの高次構造変換と遺伝子発現制御の相関が間接的に示唆されている。同変換を行うトポソメラーゼIの阻害剤カンプトテシンがhsp70等の遺伝子発現を実際に抑制することを明らかにした。他方、リンパ芽球系細胞における腫瘍プロモーターTPAによるc-fos遺伝子の発現誘導がカンプトテシンによっても起こることを見出した。 今年度の成果は、染色体の安定保持機構に関する諸因子の同定及び不安定性に関わるDNAあるいはクロマチン上の構造を解明する研究につながるものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)