RAS遺伝子によるイノシトール燐脂質カスケード調節
Project/Area Number |
63015015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 功 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (60114401)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 1988: ¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
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Keywords | RAS遺伝子 / イノシトール燐脂質 / 細胞増殖 / 酵母 / カスケード |
Research Abstract |
酵母細胞においてもRAS遺伝子が見いだされ,その機能を明らかにしてきた。本研究ではRAS遺伝子産物のイノシトールリン脂質カスケードの調節機構について明らかにした。酵母細胞においても高等動物においてみられるイノシトールりん脂質カスケードと同様のシステムが存在することを明らかにした。ホスファチジルイノシトールがPIキナーゼによってりん酸化され,PIPが合成され,さらにPIPキナーゼによってりん酸化されてPIP_2が形成される。PIP_2はホスホリパーゼとによって分解され,IP_3とDGになり,IP_3は細胞内でのCa^2+^<>遊離を,DGはプロテインキナーゼとを活性化すると考えられている。PIP_2に特異的に反応する抗体を調製し,この抗体に対する感受性を利用してイノシトールりん脂質カスケードに変異をおこした突然変異株の分離を試みた (但しその前に増殖が温度感受性でG1期停止するものを選択しておく) 。このような方法で各種の突然変異株を分離することができた。これらのなかにPIキナーゼあるいはPIPキナーゼが温度感受性になった株が含まれていた。これらの株の細胞を制限温度下で培養し,G1期停止させ,PIP_2を電気穿孔法で導入すると細胞増殖を行った。この結果,これらの株ではPIP_2が合成できなっために細胞増殖が停止したものと考えられる。さらにRAS遺伝子を破壊した株でも同様にPIキナーゼ活性が低下し,PIP_2合成速度が低下することがわかった。しかしこの場合はPIP_2を導入してもその効果がみられなかった。この結果はRAS遺伝子は直接PIP_2合成に関与しているのではなく他のシステムを介して間接的に働いているものと考えられる。以上のようにRAS遺伝子は間接的にイノシトールりん脂質カスケードを正に制御し,細胞増殖を制御していることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)