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¥8,800,000 (Direct Cost: ¥8,800,000)
Fiscal Year 1988: ¥8,800,000 (Direct Cost: ¥8,800,000)
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Research Abstract |
1980年Galloらが発表し,1981年日沼らが成人T細胞白血病と密接に関係するとした,ヒトT細胞白血病ウイルスhuman T-lymphotropicvirustype-1(HTLV-1)感染者は一生ウイルスを持ち続け,キャリアという。大部分のキャリアには何も起こらないが,一部に成人T細胞白血病(ATL)HTLV-1関連脊髄症(HAM)などを起こす。HTLV-1は強い地域内流行を示す。主たる感染経路として,輸血・性交・母乳感染がある。 我々は母乳感染の役割をより一層確実にし、母乳以外の感染経路の依存の有無を調べる目的で,長崎県下を対象にした妊婦のスクリーニング,キャリア妊婦の出産した子供の追跡調査を行っている。長崎県下の出産(年間約22,000例)の約70%を把握し,キャリア妊婦による出産は約5%を占める。この研究態勢は87年度より開始されたため,小児の追跡調査に乗ってくる数は未だ低いが,母乳を飲ませずに育て1年以上の追跡を行った児のうち,感染が疑われる者は,約3%に過ぎず,キャリアは母親が母乳で育てたときの感染率30%以上に比較すると,90%の感染は防御できることが考えられる。 母乳を飲ませずに育てても,一部に感染を見ることから,母乳以外の経路による母子感染も存在することが予想される。1例では,生後6ヵ月で既に高い抗体価を示し,経胎盤感染,あるいは産道感染の存在を考えさせた。3例では,生後6ヵ月では抗体は存在せず,これらの感染で説明するのは必ずしも適切でないと思われた。今後母乳以外の感染経路による母子感染の追究を行う必要がある。 最近,PCRによる細胞内の遺伝子を直接検出する方法が開発された。キャリアの判定について,此の方法が応用できるか否か,の検討も開始したが,この点については,来年度の研究に委ねる。
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