Project/Area Number |
63015103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
野呂 信弘 東京都神経科学総合研究所, 微生物学研究室, 主事研究員 (40172829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 真澄 東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究室, 主事研究員 (20124414)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | c-src遺伝子 / pp60^<c-src> / 神経細胞 / 細胞分化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
神経細胞の分化と関係の深いc-src遺伝子およびその遺伝子産物(pp60^<c-src>)の神経細胞分化過程における働きを明らかにすることを目的として研究を行った。 (1)ラット中枢神経系(小脳・嗅球・海馬)の発生過程におけるpp-60^<c-src>の発現を、pp60^<c-src>に対する抗体を用いて免疫組織化学的に調べると、脳の各部域でその発現パターンは異なるが神経細胞樹状突起の成長およびシナプス形成の盛んな時期に一致してその発現は認められた。これらの時期にpp60^<c-src>を強く発現している部域を電子顕微鏡レベルで調べると、樹状突起内部の微小管および樹状突起上の内顆粒細胞由来の平行線維とシナプスを形成する棘突起(spine)にpp60^<c-src>は局在していることが明らかにされた。 (2)このような神経細胞の発生・分化とc-src遺伝子の発現の相関は、神経成長因子(nerve growth factor:NGF)の働きによって内分泌系細胞から神経細胞へ分化する能力を持つPC12h細胞においても認められることは既に報告した。PC12h細胞の分化を薬剤処理などによって阻害されると、c-src遺伝子の発現も抑制された。逆に、pc12h細胞のc-src遺伝子の発現をアンチャンスDNAの導入によって特異的に抑制しても、この細胞のNGFの作用による分化も阻害されることが認められた。 以上の結果から明らかなように、c-src遺伝子の発現は神経細胞の発生過程で厳密な制御を受け、神経細胞としての機能発現に必須の重要な内因性要素の一つであることが示唆された。現在、pp60^<c-src>の持つチロシン残基特異的なタンパク質リン酸化活性が、これらの神経細胞分化とどのような関連があるのかを検討している。
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