Research Project
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
MPF(卵成熟促進因子)は真核細胞に共通の分裂中期誘起蛋白質である。本研究の目的は、このMPFをヒトデ卵から精製して、その分子的実体を蛋白質レベルで明らかにするとともに、その遺伝子をもクロン化して同定することにある。本年度の研究によって明らかになった点は、以下の通りである。1.分裂酵母suc1遺伝子産物をリガンドにもつアフィニティカラムを用いて、MPFをワンステップで精製する手法を前年度に開発した。本年度は、溶出に用いたsuc1溶液をフォスフォセルロ-スカラムで除くことに成功した。得られたMPF標品は電気泳動的にきわめて純度が高く、抗ヒトデ・サイクリン抗体と抗PSTAIR(cdc2蛋白質の保存配裂を含むオリゴペプチド)抗体を用いた解析から、cdc2蛋白質とサイクリンの複合体であることが確認された。2.MPFを構成する蛋白質の遺伝子については、ヒトデ・サイクリンのcDNAは、既に前年度にクロン化して全塩基配列を決定した。上述の抗体は、これを大腸菌で発現させた蛋白質を抗原としたものである。ヒトデcdc2ホモログのcDNAについては、PCR法を用いてヒトデcDNAライブラリ-からクロンを得ることができた。現在、全長を含むものを再度クロン化中であり、まもなく全配列の決定に至る見込みである。3.MPFの活性化機構をin vitroで解析することをめざし、MPFの前駆体をsuc1・アフィニティカラムを用いて精製することに成功した。このMPF前駆体はフォスファタ-ゼ処理とヒトデ卵核胞内容物の添加によって活性化できると判明したので、現在、卵核胞中の有効物質とその効果の実体を追求中である。以上要するに、3ヶ年の本研究計画で目的としていた研究は、ほぼ全てを達成することができたといえる。
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