Project/Area Number |
63510085
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychology
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
福沢 一吉 (財)東京都老人総合研究所, リハビリテーション医学部言 (00156762)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アルツハイマー型老年痴呆 / 読字 / 書字 / 高次脳機能検査 |
Research Abstract |
痴呆患者の読字・書字能力の低下を引き起こすメカニズムを検索することを目的に、痴呆患者の読字・書字能力の変化を縦断的に追跡した。目的にかなった以下の検査開発を行い、検査を実施した。 1.検査作成。従来より当研究室で使用してきた高次脳機能検査老研版(痴呆の全体的症状を把握する神経心理学的検査で見当識、言語、記憶、視空間認知・構成の各領域を含む)の他に以下の5つの検査を作成し、読字、書字能力を検討した。なお、これらの検査の作成にあたっては、痴呆症状が進行しても検査が続行できるように内容を容易にすると共に、反応様式も簡易なものにした。 a)読字・書字能力の背景となる能力の検査:図形・線画の模写および照合 b)音読検査:抽象・具象漢字、高・低頻度仮名単語、カタカナ語、品詞別語、単音節平仮名、無意味語 c)読解検査:漢字読解、漢字の意味説明、カテゴリー分類(動物、乗り物、食べ物、植物) d)書字検査:音読と同様の内容 e)lexical decision(実在語、非実在語の判断をする検査)。 2.被験対象:上記検査が実施できる追跡可能な軽度アルツハイマー型老年痴呆患者1例(T.M.経過月数16ヵ月)。 3.結果:追跡月数4ヵ月の時点の高次脳機能検査では、見当識、記憶、視空間・認知構成の各領域で低下が認められたが、言語には低下が認められなかった。さらに掘り下げた読字・書字検査では音読・読解能力の低下は見られなかったが、抽象・具象を統制した漢字書取に成績の低下が見られ、特に抽象語の成績が低下していた。品詞別の書取では形容詞、機能語に比べて動詞の成績に低下が認められた。 4.まとめ:初診から16ヵ月の時点では本例の言語機能にまだ顕著な低下が認められていない。今後も本例を対象に追跡を継続し、上記目的にそったデータの収集を続行する。なお、追跡可能な軽度痴呆例または境界例を追加し縦断的に追跡する予定である。
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