Project/Area Number |
63510131
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海原 徹 京都大学, 教養部, 教授 (00026824)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 競争原理 / 能力主義 / 文武修業者宿 / 教授方法の近代化 / 等級システム / 試験制度 / 賞罰制度 / テスト至上主義 |
Research Abstract |
本年度研究テーマに関する主要な知見は、以下のとおりである。 人材供給の場としての学校に対する期待が増大するにともない、世襲制に裏打ちされた封建学校内の怠情を一掃するために、競争原理の導入が様々の形で試みられた。文武両道とも教科目や教官の一元化を避け、可能なかぎり複数配置し、また生徒を資質や学力ごとに等級システムーのちの学級や学年制に編成しようとしたのは、そのためである。閉鎖的な授業を活性化するために、藩外への遊学が奨励され、諸国の修業者に私塾だけでなく、藩校の門戸を漸次開放するなど、様々な形の支流が試みられた。文武宿の設置はその一例である。教室内では、教師中心主義的な講義のみならず、輪構、会講、討論、輪読、会読、対読、独看、温習など、生徒各人の興味や関心を軸にした学習活動への取り組みがみられる。カリキュラムが官定化されたサムライ学校の場合はやはり限界を否定できないが、私塾になると、これをすベて生徒各人が決めることも不可能ではなかった。遊学の一般化は、ある意味でそうした学生たちの全国的な規模での増大をしめすものに他ならない。教育活動の成果をチエックするために試験を活用することも試みられた。隔年試、年試、時試、月試、旬試、日試などに様々な工夫が凝らされるだけでなく、毎日の課業においても各種の試験が行われた。いずれも点数評価、またこれを下敷きにした序列化をともなうものであり、無気力的な教室に新風を吹き込むことに成功したが、反面、点数のための勉学という弊害を免れることができなかった。官・公立学校にそうした傾向が強かったのは、成績の高低が何ほどか社会的出世に関係していたためであろう。当局側が賞罰システムを併用したことも、これに拍車をかけた。在野性の強い学校、たとえば私塾ほど、そうした弊害に距離があったのは、学習者中心主義をふまえていたということと併せて、きわめて示唆である。
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