Research Abstract |
科学研究費補助金(一般研究C)交付申請書に記載されているように,この研究は,前年度の補助金(一般研究C)の継続ではないが,同名の研究に基づいて,それを継承し発展させる課題意識に支えられている。そのことは,副題に顯わされ,対象の拡がりのうちに示されている。すなわち,単なる技術伝播にとどまらず,文化類型に及んでいるということである。 平成2年3月予定されている本学公開講座「織物に見る日本文化の基層」と題する研究代表者の報告に見られる試論の提供は,その代表例のひとつであろう。 以下は,日本文明文化論に対する大胆な挑戦であり,本年度研究成果の結論である。 1.伝統と近代は連続し,政治・経済・歴史等の学術用語として区別するのは化学的には至便であっても,生活用語としては誤解され易い。 2.「オリジナルが無くてレプリカは在るはずがない」と、前年度は云ったが,1.に連動させると,発展的には,産業上生活上,両立できる基盤整備が必要である。 3.そのためには,「国の補助金行政に問題あり」との前年度研究の研究をさらに飛躍させて,製造者・消費者相双に,両立可能な「意識革命」さえ迫らなければならない。 4.手技性から機械化,一品制作より量産化という短絡的説明を越えた両義的思考パラダイムによる生産・流通システム化が図られなければならない。 5.1〜4までを綜合すると,ソシャル・エスニック・エコロジ-(社会的民族生態学)の導入しないことには、問題解決の糸口は見出せないのではないか。
|