Project/Area Number |
63510166
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
藤村 久和 北海学園大学, 教養部, 教授 (70113470)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | アイヌの川魚漁 / アイヌ語 / 川魚の地域別・部分別名称 / 川魚用漁貝の製作 / 川魚の調理・加工・利用 / 川魚の民俗 |
Research Abstract |
研究計画中で最重要視していたアイヌ古老からの聴取調査は、予想以上の成果を持たらした。それは、各地の古老が川魚漁やアイヌ語に精通していたことによる。また、収集した既存資料(文献・私蔵テープ・野帳・古写真等)から得た情報を、古老の口述記録と照合し、問題点を集約できたことは密度の濃い聴調査を招来した。 川魚の種類は、河川や河川流域によって異り、隣接す集落であっても河川が別であると、捕獲する対象の魚、漁法や漁貝、利用法等が大きく異る。そのことは、各地・各古老の川魚漁に関する生活誌の記録を微視的にとらえ、特徴づけることを可能にした。 川魚漁の漁法や漁貝では、未知の方法がいくつか明らかになり、そうした漁貝の一部を小型の模型資料として得た。また、往時の漁場、仕掛け場を踏査し、集落と漁場の位置関係を確認できたところもある。捕獲した川魚は、大きく食用(保存食用も含む)、薬用、生活用具への利用(魚皮製靴、外套、膠など)に分けられるが、特に食用については煮る・焼く・蒸すの他に刺身・たたき・あらいなどの調理法、その際の薬味やつけだれの工夫、だしとしての利用などが明らかとなり、食文化の豊かさが改めて実証された。自然現象から漁期を知るさまざまな言い伝えが乱獲や産卵期を避ける資源保護の方法の一環であることも、禁漁・稚魚の移植放流の実態と併せて判明した。川魚漁に関わる儀礼や禁忌・民俗事項については、各地で数多くの事例を得たが、これらは信仰分野との関連もあり、相互に研究を進めていく必要がある。 このように本研究は多くの成果をあげ、今後その内容を逐次発表していくが、食料としての利用は食文化の解明と深く関わり、また海魚漁との比較研究という課題も残されている。高齢な古老が次第に亡くなる中で、継続的な調査研究が急務であることを改めて感じた。
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