Project/Area Number |
63510224
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
考古学(含先史学)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藁科 哲男 京都大学, 原子炉実験所, 教務職員 (80089135)
|
Project Period (FY) |
1988
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 石器 / 産地推定 / 元素分析 / 蛍光X線法 / 黒曜石 / サヌカイト / 石器の分布範囲 / 石材原産地 |
Research Abstract |
産地分析を行った遺跡は、合計95遺跡になり、全国的である。これらの遺跡から出土した遺物の中で、分析した黒曜石製石器、石片の合計は979点で、サヌカイト製の物は、744点である。産地分析の結果から、北海道地方の名寄市の遺跡では、白滝、置戸、十勝、赤井川の大規模産地の石材の他に、地元の名寄産原石が使用されていることを明かにすることができた。また、深川市の遺跡でも大規模産地の石材の他に、名寄産とか地元の近文台産及び滝川産の原石が使用されていた。 今回新しく、名寄と深川の交流が産地分析の結果から推測された。東北地方、青森県下では、25遺跡からの114点の黒曜石遺物の産地分析を行った結果、三沢市の根井沼(1)遺跡の繩文早期の3点には、伊豆諸島の神津島産黒曜石が使用されていることが明らかになり、古代の活動とか交易の広さに驚かされる。沿岸部に位置する遺跡で、北海道、秋田県、東京都の神津島などの黒曜石が見られることから、海路を利用して遠距離伝播したように推測される。内部部の遺跡からは、これら遠距離伝播の原石は見られず、沿岸部の遺跡が他地域との交流を積極的に行っていたと推論できるであろう。また、岩手県の高田市で置戸産の原石の使用が確認された。日本海側佐渡島の遺跡では、地元の黒曜石石材の他に中信高原の霧ケ峰、和田峠産原石の使用が確認された。関東地方の東京都板橋区の旧石器時代では、時期の古い順に、伊豆、箱根の黒曜石、中信高原、神津島産黒曜石と変化するような結果を得た。近畿地方の弥生前期には、二上山産に混じって金山産原石が使用される確率が高く、稲作技術の伝播との関係が推測される。今回の分析で再度、奈良県二上山産の原石が、高知県中村市に伝播していることが明らかになり、中村市の古代人は、奈良県の文化とか情報を知っていたと推論された。 過去のデータに今回を加えると、総計的1万9千点の分析点数になる。
|