特定の原典をもたない-種の抄物につきての研究-その発掘整備と国語学的研究-
Project/Area Number |
63510237
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国語学
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳田 征司 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10036410)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1988: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 抄物(しょうもの) / 漢詩 / 聨句 / 医学書 / 語詞研究 / 辞書史 / 随筆文学 |
Research Abstract |
本研究は、抄物の中でも、発掘・整備がはなはだしく遅れている「特定の原典をもたない-種の抄物」(筆者命名)を対象として、その発掘につとめ、これを分類整備して、日本語研究資料としての有効性を明らかにしようとしたものである。 1.発掘・整備 (1)国立公文書館内閣文庫・国立国会図書館・東洋文庫・倉敷市中央図書館・岡山大学大原農書文庫・同鹿田分館・東北大学・宮城県立図書館・弘前大学・弘前市立図書館・秋田県立図書館・酒田市立光丘図書館等において文献調査を行い、葦竜日用・宗義名目抄・内経抜書抄(以上内閣文庫)宣用本草(大原農書)等多数の資料を発掘した。 (2)当該抄物には種々のものが存する。本研究によって諸資料を大観した結果、先ず大きく二分すべきことがわかった。即ち、一つは、禅僧の手になるもので、漢詩・聨句・作法々を作成するために用意されたものであり、もう一つは、医家の手になる医学書である。それぞれの内部は、更に、〈1〉諸知識を集成したものと〈2〉用語を列挙して解説したものとに分けられる。 2.日本語研究資料としての有効性 (1)解説の用語には、他抄からは得られないような口語語詞が見つかる場合があり、中世語語詞研究資料として有効であると見られる。 (2)用語を列挙して解説したものには辞書に近い形態をとるものがあり、辞書史研究資料として看過できない。 (3)諸知識を集成りしたものには、随筆に近い形態をとるものもあり、近世の随筆文学につながる資料として照明を当てる必要がある。 (4)「特定の原典をもたない一種の抄物」は、多く室町年末期に作成されており、抄物作成史における末期の様相を解明する手掛りを与える。
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Report
(1 results)
Research Products
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