古代ウイグル文『阿毘達磨倶舎論実義疏』からの漢文原典の再構
Project/Area Number |
63510275
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
言語学(含音声学)
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
庄垣内 正弘 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60025088)
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Project Period (FY) |
1988 – 1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1989: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1988: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ウイグル文阿毘達磨倶舎論実義疏 / 音素転写 / ウイグル語と漢語の対照語彙 / ウイグル語の和訳 / ウイグル文実義疏の性格 / 漢文原典の再構 / 文字転写 / 引用文の抽出 / ウイグル語構文の特徴の整理 / ウイグル語ー漢語対照語彙 |
Research Abstract |
1.大英図書館蔵写本・古代ウイグル語仏典『阿毘達磨倶舎論実義疏』(Or.8212-75)のうち、その6,000行の文字転写、音素転写は昨年度に終わっていたが、本年度はこの写本末にあたる7,016行までを完了した。 2.この仏典中に引用されている『倶舎論』本体、あるいは『順正論』『阿含経』などの漢訳との対照から得たウイグル語と漢語の対照語彙及び対照構文を、本年度はさらに完全なものにした。 3.写本全体の和訳が完了した。 4.和訳の提出によって、サンスクリット原典も、ウイグル語訳の原典となった漢訳文も失っている、この仏典の性格がかなりの程度判明した。 (1)この写本の2,583行までが『倶舎論』の総序の注釈であり、それ以降4,585行までが「界品」第一巻の第一章の注釈あって、これらは完結している。残りの70,16行までは第二巻の断片であることがわかった。 (2)パリ国民図書館蔵の敦煌写本の漢訳『倶舎論実義疏』が、初頭の頌をのぞいては単に『倶舎論』の抜粋を掲げたに過ぎないと言われてきたが、実はウイグル語訳と基本的に対応するものであって、ウイグル語訳の原典とほぼ同じ漢訳『倶舎論実義疏』からの極端な抜粋文であることがわかった。 (3)同じく『倶舎論』の注釈書であるVasomitraのSphutartha-abhidharma-kosavyakhyaと内容のかなりの部分が重複することがわかった。 5.定訳語彙と構文の研究がさらに進めば原典となった漢訳文の再構が可能となるが、それ以前にテクストの和訳と注を出版する計画をもっており、平成二年度の出版助成金の申請をした。なお、4,585行までの音素転写はこの二年間の研究結果として既に出版した。 6.最近甘粛省でウイグル文『倶舎論実義疏』の約800行の断片が発見されたが、北京中央民族学院の耿世民教授よりその共同研究の申し出があった。本研究の一環として将来に繋げたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)