重工業における産業再編成と雇用問題に関する実証的研究-造船業を中心として-
Project/Area Number |
63530021
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済事情及び政策学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 潔 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60013017)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 雇用問題 / 産業再編成 / 造船業 / 国民経済 |
Research Abstract |
〈1〉近年の日本重工業なかんずく造船業における産業再編成は、単に日本国内の問題であるばかりでなく、韓国をはじめとするNIESの追いあげ等、国際的な産業構造転換の一環をなすものであった。したがって、この問題を研究する前提として、まず資本主義世界各国の国民経済を四つのタイプに分類した。〔I〕停滞型先進国経済(代表例:アメリカ)、〔II〕成長型先進国経済(日本)、〔III〕成長型後進国経済(韓国)、〔IV〕停滞型後進国経済(インド)、である。そして、その上で、これら諸9タイプ間の相互連関のなかで、日本重工業の産業再編成と雇用問題につき考察することとした。 〈2〉この場合、造船業は鉄鋼業とともに、第IIIのタイプとの競争により決定的な打撃を受けた産業であり、(最近の一時的回復も長期的趨勢をくつがえすものではない)、電機、電子産業や自動車産業は第I、第IIIタイプとの競合に対応する海外現地生産の進展によって、国内、国外における雇用問題が注目されている産業である。 〈3〉造船業についてみれば、この問題は、巨大造船企業の"城下街"における造船所閉鎖にともなう雇用・失業問題として発現した。I造船所の例をとれば、閉鎖造船所の1985年の従業員約3,300人中、1988年3月末で、同一企業ないし関連企業に雇用されている者34%、職安を通じての再就職者28%、求職中の者19%となっていた。その後、雇用状況は改善されて来たが、(1)求職中の「中高年者」がとりのこされていること、(2)再就職者が大企業から中小企業への下降的労働移動をよぎなくされており、賃金水準も大巾な低下をみていること。この結果、世帯員(特に主婦)の追加的就業という形で多就業化が進んでいることが問題である。ごく最近の雇用状況の改善も"企業城下街"では中小企業における雇用機会の増大にとどまっている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)