スピン分極をもった短寿命反応中間体の電子・核二重共鳴法による時間分解測定
Project/Area Number |
63540339
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 久雄 大阪大学, 理学部, 助手 (50142261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 敬治 大阪大学, 理学部, 教授 (50028099)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 時間分解ESR / CIDEP / スピン分極 / 光還元反応 / ENDOR / 光増感反応 / アルコキシド / 無水マレイン酸 |
Research Abstract |
電子・核二重共鳴法の時間分解測定に先だち、マイクロ秒領域で安定な時間分解ESR測定が可能な、デジタルオシロスコープを組込んだ装置の立ち上げと、また強いスピン分極が得られる系に関する予備的実験を主に行なった。従来、電子・核二重共鳴法用に用いてきたESRキャビティーは光励起用の窓をもたない。したがって窓のあるTE_<011>型キャビティーを用い、RFコイルを直接試料流動セルに取り付けて測定する方針を固め、この装置により強いCIDEPが可能な系を用い研究を行なった。(1)まず芳香族カルボニル化合物(主にキサントン)の金属アルコキンドによる光還元の系に着手した。光励起された三重項キサントンはアルコキシド反応し、能率良くアニオンラジカルが生成した。その時間分解ESRスペクトルの解析から、このアニオンラジカルは生成直後から金属カチオンと相互作用をしていることが明らかとなった。また初期に生成するアルコキシルラジカルはナノ秒よりも短寿命であることも判明した。この系は各スペクトル線幅内に金属核の超微細構造が隠れており、今回の題目の手法の対象として有望と考えられる。さらに(2)無水マレイン酸の光増感反応により生じる異常スピン分極、(3)AIBN(重合開始剤)の励起一重項状態からの分解機構、(4)TMPDの励起一重状態からの光イオン化過程等に関しても研究を行ない、それぞれ反応機構およびスピン分極に関して新しい知見が得られた。特に(2)の系は有望と期待できる。 電子・核二重共鳴法を実際に(1)、(2)の系に試みたが、現時点では信号強度が弱く、またラジオ波の検出系への漏れ等の問題があり、再現性が得られていない。現在はコンピューターによる積算等のデータ処理、さらに装置の感度向上、レーザーの改良等を、予備的な時間分解ESR測定と平行して行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)