超音速ジェット・多光子イオン化レーザー分光法による金属錯体の電子励起状態の研究
Project/Area Number |
63540363
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
構造化学
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三上 直彦 東北大学, 理学部, 助教授 (70004447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 寛明 東北大学, 理学部, 助手 (40004444)
|
Project Period (FY) |
1988
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | 超音速ジェットレーザー分光 / 多光子解離 / 金属錯体の光分解 / 気相アセチルアセトナト錯体 |
Research Abstract |
金属錯体の気相における光化学反応は、溶媒効果等の周辺環境の影響がないため、錯体固有の性質に基づく反応を理解するうえで極めて重要である。本研究では以上の点を念頭に、近年急速に発展した超音速ジェット・レーザー多光子イオン化分光法を用いて、気相における遷移金属錯体の電子励起状態からの光化学反応を研究することを目的とした。 1. Cr(III)アセチルアセトナト錯体のレーザー光分解。 金属カルボニル錯体をレーザー光分解すると配位子が段階的に脱離して、最終的には金属原子にまで分解することは古くから研究され現在でも活発な議論がある。本研究では中心金属が酸化数を有して結合した錯体において、同様な光分解機構が存在するか否かを観測することを試みた。その結果、Cr(III)アセチルアセトナイト錯体は極めて効率よくCr原子にまで分解することを見出した。更に2つの独立な波長可変色素レーザーを用いる多光子解離多光子イオン化法を用いて、錯体からCr原子が生成するに必要な分解エネルギーしきい値を正確に求めることができ、光分解についてCr原子生成が錯体の2光子許容励起状態から全リガンドが一挙に脱離するという直接分解機構を提唱し、学会等で口頭発表すると共に、Chem.Phys.誌に発表した。 2.第一遷移金属元素のアセチルアセトナト錯体のレーザー光分解。 中心金属がCr(III)の場合と同様な光分解が他の遷移金属元素の場合にも起こるかどうかを知る目的で、Sc,Co,Fe,Ni,Mn,Cn,を中心金属とする錯体の場合について多光子解離多光子イオン化法を応用した。その結果、Cr(III)の場合と同様な直接分解機構を示す錯体はCu(II)錯体だけであり、他の錯体の場合はすべて中心金属に分解するより先に錯体のイオン化やフラグメンテーションが起こる機構であるとの結果を得た。これらの分解機構の統一的考察を発表予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)