熱レンズ信号交換効率の振動モード依存性とその無輻射遷移機構への応用
Project/Area Number |
63540364
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
構造化学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺嶋 正秀 東北大学, 理学部, 助手 (00188674)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 熱レンズ信号 / 溶質依存性 / 無輻射遷移 / 項間交差量子収率 |
Research Abstract |
現在まで、光り熱分光法の研究を行なっているほとんどの研究者が気付いていなかった熱レンズ信号強度の溶質依存性をはじめて実験的に示すことができた。特にアゾベンゼン、スチルベンなどの大振巾振動をもつ分子において信号強度の小さいことがわかった。これらの溶質依存性が溶質を加えたことによる溶液の熱力学パラメーターの変化ではないこと、多光子吸収、光散乱過程のせいでもないことを確認した。よって観測された溶質依存性を説明するには、溶質から溶媒へのエネルギー移動の際に、溶質の振動モードに応じた割合で溶媒の振動、並進エネルギーに分配されているということを考えなくてはならない。この結論は熱レンズ信号強度を測定することで、溶質の無輻射遷移によりどの様な振動モードが励起されているかを明らかにできるという目標に大きく近づく成果であった。また同様な現象が光音響信号にも観測され光熱分光法の無輻射遷移への新しい応用への道を開いたといえる。 一元熱レンズ信号を時間分解することにより、種々の無輻射遷移の過程を捕えることに成功した。例えば通常の光学的方法では測定困難な、一重項一三重項間交差の量子収率を溶液中、固相中、2光子励起法などの種々の条件下において求めることができることを初めて示した。またケト-エノール異性体間のエンタルピー差を時間分解熱レンズ法を用いて求められることも示すことができた。これらはこの手法の特徴を生かしたユニークな成果である。 次のステップとしてどの様な振動モードを励起した際、どの程度の信号強度が得られるかを調べるためゼノンランプを分光し、セクターで変調をかけて熱レンズスペクトルを測定するための努力を続けている。現在のところ励起光強度が弱く満足な信号は得られていないが、励起光強度を高めることで信号を得ることができると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)