Project/Area Number |
63540481
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宇津野 峻司 静岡大学, 理学部, 教授 (40021935)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 光学活性体 / 三脚状配位子 / 3角両錐構造 / 5配位錯体 / 旋光性 / 円二色性 / 磁気モーメント |
Research Abstract |
窒素およびリンを配位原子とする三脚状四座配位子トリス(ジフェニルフォスフィノエチル)アミン( "NP_3"と略記する)の光学活性誘導体(C_6H_5)_2PCH_2CH(CH_3)N[CH_2CH_2P(C_6H_5)_2]_2( "S-NP_3"と略記する)を新しくL-アラニンから誘導合成した。 1.錯体の合成。この配位子はコバルト(II)およびニッケル(II)塩と反応して[M(X)(S-NP_3)]B(C_6H_5)_4(X=Cl^-、Br^-、I^-、NCS^-)なる組成の錯体を形成した。これらの錯体の中には空気酸化を受けたり、溶液状態で光を当てると変化するものがあったので、測定にあたってはこれらの点に注意した。 2.錯体の磁性。コバルト錯体はXがCl^-およびBr^-のときは高スピン型であったが、XがI^-およびNCS^-のときは低スピン型であった。一方、ニッケル錯体はすべて低スピン型錯体であった。核磁気共鳴法により、これらの錯体の溶液内での磁性も測定し、固体とほぼ同じ磁気モーメントを得た。 3.錯体の電子スペクトル。これらの錯体はどれも対応するNP_3錯体と極めてよく似た電子スペクトルを与えた。したがって、ニッケル錯体は三角両錐構造をとり、コバルト錯体のうち、[Co(Cl) (S-NP_3)]B(C_6H_5)_4および[Co(Br)(S-NP_3)]B(C_6H_5)_4は歪んだ三角両錐構造をとると推定できた。 4.円二色性スペクトル。5配位錯体の円二色性スペクトルは極めて珍しいものであるが、これらの錯体は可視部でのΔεがコバルト錯体で0.5、ニッケル錯体では6付近のかなり強いスペクトルを与えた。ニッケル錯体の円二色性スペクトルは錯体がC_<3V>対称をもつものと仮定したときの選択律に従うことがわかり、既に報告した窒素4個を配位原子とする三脚状配位子の錯体から得られる結果と一致した。
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