混合原子価錯体をモデルとした電子移動遷移状態生成に対する媒質効果の研究
Project/Area Number |
63540495
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
齋藤 一夫 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70004231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永沢 明 東北大学, 理学部, 助手 (40108452)
梅本 公子 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (90095670)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | バナジウム錯体 / 混合原子価錯体 / 複核錯体 / 媒質効果 / 反応前駆体 / 電子移動反応 |
Research Abstract |
遷移金属錯体はイオン価の変化に応じ物性・反応性が変化するが、特に2個以上の原子が異なるイオン価をもつ混合原子価錯体は、特有な機能を示す。通常これらは複核錯体の電子移動反応で生成するが、我々はVO^<2+>錯体とVO_2^+錯体との置換反応でV_2O_3^<3+>コアーを持つ混合原子価錯体を生ずることを見出した。例えば4座配位子nta^<3->を含む場合。 [V^<vt>O(nta)(H_2O)]^-+[V^vO_2(nta)]^<2->【double half arrows】[(nta)VO-O-VO(nta)]^<3->の平衡が成立し、右向き反応は10^0-10^<-2>秒の間に進行する。反応種はいずれも陰イオンで、それらが静電反発力に抗して接近し、置換反応を起し形式上電子1個を2個のバナジウムイオンが分ちあうに到る機構の解明は電子移動反応のモデルとして好適である。本研究ではまず両錯陰イオンから電子移動前駆体を生ずる過程を取上げ次の2点を中心にした。 1.紫外分光光度法により上記反応の平衡定数を測定するのに必要なソフトウェアーを開発する。計算に必要な収束條件、定数初期條件、測定誤差の影響が大きく、非線型最小自乗法から最確値を求めることは困難であった。そこで必要な吸光度を設定し三次元空間におけるSS地図を作り、確度最大の値を選定した。こうして25℃、イオン強度0.5Mにおいて14±4M^<-1>程度の精度でK値を求めることができた。 2.平衡定数に対する溶液条件の影響を解明する。ア.式中の各錯体の加水解離の影響は[VO_2(nta)]^<2->が最も大きいが、Na_3nta0.05Mの添加で影響を除外できた。イ.測定最適pHは4.3±0.3であった。ウ.右向き反応の反応熱はΔH°-20 kJ mol^<-1>、ΔS°-20 kJ mol^<-1>K^<-1>で、水和が反応熱に寄与していることが分った。エ.平衡定数はイオン強度の上昇に伴って増加した。これは対イオンNa^+が陰イオン錯体どうしの接近を助ける作用を持つと見るべきで、イオン強度効果よりも対イオン効果として理解すべきであると結論される。今後は速度論的方法を導入する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)