マリアナ・トラフ北端部の地殻形成過程に関する岩石学的研究
Project/Area Number |
63540650
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
鉱物学(含岩石・鉱床学)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 次夫 岡山大学, 理学部, 助教授 (00108119)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 背弧海盆玄武岩 / マグマの発生 / 海洋地殻の変質 |
Research Abstract |
典型的な背弧海盆であるマリアナ・トラフ北端部でドレッジされた玄武岩について岩石学的検討をおこない、背弧海盆下マントルで発生するマグマの特質の解明を試みた。また、背弧海盆下のマントルは海洋リンスフェアの沈み込みの場であり、ここでのマグマの発生は沈み込む海洋リンスフェアより放出される物質に著しく影響される。この観点より、本研究では国際深海掘削計画(ODP)第111節航海で採取したHole504B玄武岩についても合わせて検討をおこなった。明らかになった事柄は次の諸点である。1.マリアナ・トラフ玄武岩の主要成分の含有量は基本的には典型的な深海性ソレアイトと類似している。しかし、ほぼ同じMgO含有量を持つ深海性ソレアイトに比較してTiO_2、(FeO+Fe_2O_3)に乏しく、Na_2O、K_2O、AL_2O_3、H_2Oに富む。 2.大部分のマリアナ・トラフ玄武岩は、カンラン石-斜長石-透輝石-石英四面体において一気圧無水条件でのカンラン石-斜長石-単斜輝石共融曲線に沿って分布し、低圧下でカンラン石、斜長石、単斜輝石に飽和している。 3.最も末分化なマリアナ・トラフ玄武岩は低いFeO/MgO比を示し、マントルを構成するカンラン石と平衡に共存できる。 4.Holo504B玄武岩は典型的な深海性ソレアイトに比較してTiO_2、Na_2O、Srに乏しく、H_2Oに富む。Autio & RhodesによりGroup D玄武岩とされたものに類似する。 5.低温での変質作用により隠微晶質の石基や初生鉱物の粒間、劈開に沿ってスメクタイト、緑泥石、アクチノ閃石、滑石等が生成している。 マリアノ・トラフ玄武岩の性質は比較的アルカリ金属、H_2Oに富むマントルに由来することを示している。このようなマントルの形成は沈み込む海洋地殻より放出される物質の混成作用によるとすると都合がよい。本研究で得られたデータを用いて、今後このようなモデルのより定量的な検討を試みる必要があろう。
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Report
(1 results)
Research Products
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