環状ポリケチドを用いるマクロリド抗生物質の生物有機化学的合成
Project/Area Number |
63550631
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
有機工業化学
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竜田 邦明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051627)
|
Project Period (FY) |
1988
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | オレアンドマイシン / マクロリド抗生物質 / ポリケチド / 生合成 / 生物有機化学 / 変異菌株 / 微生物変換 |
Research Abstract |
マクロリド抗生物質は、ポリケチドを経て生合成されることが知られているが、いかなる種類のポリケチドを経るかは明らかではない。そこで、本研究は、環状ポリケチドに着目し、種々のポリケチドラクトン(環状ポリケチド)を合成した後、微生物により生合成的にマクロリド抗生物質に変換されるか否かを検討した。また、有機化学的に合成したマクロリド抗生物質のアグリコン部分の生化学的変換も検討した。まず、医薬品として実用されている14員環マクロリド抗生物質オレアンドマイシンから、アグリコン部分を合成した後、選択的酸化反応により、モノケト、ジケト、トリケトおよびテトラケト誘導体を合成した。一方、オレアンドマイシン生産菌(ストレプトミセス・アンチビオチカス)を人工的に変化させ、アグリコン部分を生産しない変異菌株(1300菌株より10菌株)を単離した。つぎに、上述の各種ケト体(環状ポリケチド)のとり込み実験を行った。すなわち、変異菌株と培養し、オレアンドマイシンの生産の有無を調べた。その結果、(8R)ー8ーメチルオレアンドライド、8ーエキソメチレンオレアンドライドなどのモノケト体が、オレアンドマイシンに変換されることが明らかになった。5,9ージケト体は、ほとんど変換されなかった。トリケトおよびテトラケト体については、水に不溶のため、培養条件の検討が今後の課題である。さらに、有機化学的に合成したオレアンドライド(オレアンドマイシンの真のアグリコン)、(9S)ー9ージヒドロ体などのアグリコン部分のとり込み実験を行った結果、特に、オレアンドライドが効率よくオレアンドマイシンに変換されることを見いだした。このことは、オレアンドマイシンのエポキシ環が、構成糖が導入される前に形成されることを支持し、従来の説を否定した。また、アグリコンに天然型とは異なる置換基を導入後、変異菌株により、新規マクロリド抗生物質に変換できる可能性をも示唆した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)