化学反応における立体制御の理論と有機金属を用いる合成反応への応用
Project/Area Number |
63550645
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 博 京都大学, 工学部, 助教授 (40026068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 栄 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70027069)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 反応性の尺度 / 立体選択 / 分子軌道 / 軌道相互作用 / アルケニルボロン酸 / 芳香族ボロン酸 / カルボニル化反応 / パラジウム(O)触媒 |
Research Abstract |
本研究の目的は、化学反応にみられる立体選択性を規制する因子を理論的に解析し、それを有機金属化合物を用いる合成反応へ応用することにあった。立体選択は反応中心付近の相互作用によって制御される局所的な現象であるとの観点から、反応系に対して分子軌道計算を実施し、そこで求まる電子軌道関数に変換を加えることにより、相互作用の微細機構が数組の三次元的なひろがりをもつ軌道対によって視覚的に表現できることを示した。たとえば、ビシクロブタンのように歪みの大きい小員環を有する分子では、求電子試薬、求核試薬の攻撃に対する空間配向性が電子の非局在化と重なり反発によって制御されること、反応に活性な領域がビシクログタンの中央結合の背面側にひろがっていること、この方向から試薬の攻撃を受けることにより容易に結合開裂することなどが相互作用軌道の広がりの方向とその位相によって明快に捉えられた。さらに、カルボン酸のエステル化反応に関する置換基効果について解析を行い、反応の立体経路を制御する因子について考察した。また、ここで得られた知見を一般化し、ひろく実験に応用するための、相互作用の局所性を考慮した新しい反応性の尺度を導き、その応用を試みた。 実験的には、アルケニルボロン酸および芳香族ボロン酸をメタノールまたはテトラヒドロフラン中、テトラキスフェニルホスフィンパラジウム(O)触媒存在下、常圧一酸化炭素と反応させるとCーB結合に形式上COが挿入し、対応するカルボン酸とケトンが生成するというカルボニル化反応をはじめて明らかにした。これはCーB結合のPd(O)への酸化的付加を通って進行するものと推定し、14族および15族元素のフェニル化合物に応用したところカルボニル化反応はまったくおこらなかった。ここで得られたCーMσ結合のPd(O)への酸化的付加の難易については、上記の理論的手法を応用して解析を行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)