酵母による還元反応を用いた光学活性アルコールの実用目的製造法に関する研究
Project/Area Number |
63550655
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyama National College of Technology |
Principal Investigator |
北辻 栄太郎 富山工業高等専門学校, 工業化学化, 教授 (80019116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米谷 正 富山工業高等専門学校, 工業化学化, 助教授 (60042842)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Keywords | パン酵母 / カルボニル基の不斉還元 / パン酵母-エタノール系 / アセト酢酸エチル |
Research Abstract |
パン酵母を用いるカルボニル基の不斉還元反応は、近年注目を集めるようになり多数の反応例が報告されているが、反応例のほとんどは低濃度、長時間の反応により行われる実験室的方法で、実用性を考えた場合難点がある。我々はアセト酢酸エチルエステルの不斉還元反応を取上げ、その実用化(大量合成)を念頭におき研究を行った。 今回還元のエネルギーの供給に関して検討を行った結果、従来用いられていたスクロースやグルコースなどの糖にかわり、エチルアルコールが有効なエネルギー源となり得ることを見い出し、従来法(パン酵母-糖系)にかわるパン酵母-エタノール系による不斉還元反応を開発した。 基質を含む反応溶液において糖濃度を変化させ、パン酵母と共に好気的条件下で振盪し、一定時間ごとにサンプリングを行い生成物濃度、グルコース濃度およびエタノール濃度を測定した。その結果、(1)グルコース濃度が200mM以上では還元反応速度に大きな差はないこと。 (2)グルコースは同程度の速度で消費されそれが消失後も反応が継続していること。 (3)エタノールは最初に増加した後減少に転じ、またエタノール濃度と還元反応の進行に深い関係があることがわかった。またグルコース濃度が生成物の旋光度に大きな影響を与えないことがわかった。以上の結果からパン酵母による不斉還元反応においてエタノールが還元のエネルギーとして、すなわちこの酵素反応の補酵素であるNADPHの再生系で利用されていることが明らかになった。 基質とエタノールとパン酵母を上記と同じ条件で振盪したところ、還元反応がグルコースを用いた場合とほとんど同じタイムコースで進行した。エタノールを用いる反応では糖水溶液を用いた場合に認められる副生成物の発生や激しい発泡という難点が大きな問題とならず、大量合成を考えた場合有望な方法と考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)