新しく同定した緑膿菌外膜のポーリン群の構造、物質透過機序及びその生物学的意義
Project/Area Number |
63570202
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
細菌学
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
良原 栄策 東海大学, 医学部・細胞情報科学, 助手 (70167063)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 緑膿菌 / 外膜 / 物質透過性 / ポーリン蛋白 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
1.これまで緑膿菌外膜の物質透過孔形成蛋白は主要外膜蛋白の一種であるproteinFであり、この蛋白は大口孔を有すると報告されていた。又これに反する報告もある。そこでproteinFの機能を調べる為に、まずこの蛋白の欠損株を分離した。そしてこの株から外膜を調製し、これをリポソーム膜に再構成した。リポソーム膜張法を用いて外膜を介する糖の透過速度を調べた結果、欠損株の外膜は野性株と変わらない透過性を示す事が解った。これはproteinFがポーリン蛋白ではない事を強く示唆するものである。そこでこの蛋白の外膜における役割を調べた。欠損株は丸みを帯びた形態をとっており、bleb構造も観察された。又欠損株は浸透圧ショックに対する感受性が高く、βーラクタマーゼ等のペリプラズム蛋白のもれが多くなっていた。これらの結果から、proteinFは外膜の構造安定性に大きく寄与している蛋白である事が示唆された。 2.ここでどの外膜蛋白が孔形成蛋白であるのかが問題となる。更に緑膿菌外膜をリポソーム膜に再構成し、これを用いて調べられた糖質透過速度の結果から、緑膿菌外膜の透過孔の口径は小さい事が示された。そこで精製した緑膿菌外膜を温和な非イオン性界面活性剤で処理し、外膜蛋白を可溶化した。これをDEAEイオン交換HPLCにかけ、粗画分を更に条件を変えて数段階クロマトを行ないポーリン活性を有する蛋白を精製した。その結果、三種類の蛋白質(proteinC,Mr70K:D,Mr46K:E.Mr43K)がポーリンである事が明らかとなった。グルコースで誘導されるproteinD1と今回のDとは異なる蛋白である事を分子量の相違から確めた。これらポーリン蛋白をリポソーム膜に再構成し、種々糖質の透過速度を調べた結果、三種類のポーリンは全て大腸菌ポーリン蛋白の口径より小さい事が明らかとなった。以上の結果は、緑膿菌の高い薬剤耐性を担う外膜の透過障壁性は、ポーリン孔の小ささに由来する事を示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)