肺コラーゲン架橋酵素のカドミウムによる誘導合成機序の生化学的解明に関する研究
Project/Area Number |
63570252
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
公衆衛生学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井口 弘 京都大学, 医学部, 助手 (90025643)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | カドミウム(Cd) / 肺リジルオキシダーゼ / 肺メタロチオネイン / ストレス蛋白 / 銅(Cu)代謝 |
Research Abstract |
体重300g前後の雄ラットを麻酔し、0.015%のCdCl_2、ZnCl_2、CuCl_2溶液の0.5mlを気管内に注入した。対照動物には生食水を注入した。2日後に深麻酔下で動物肺の潅流を、生食水の右心室からの注入で行い、屠殺した。Cd投与動物肺は出血性肺炎と浮腫を示し、肺重量は約2倍に増加した。ZnやCd投与群は対照群同様、肺の肉眼的変化はなかった。肺のリジルオキシダーゼ(L.O)活性はCd投与動物でのみ有意に増加した。ZnやCu投与動物では、肺L.O活性は対照動物と同様に増加なく、差なかった。肺のメタロチオネイン(MT)については、Cd投与動物群では対照群と比べ、約10倍の増加を示した。だが強力なMT合成誘導金属であるZnやCuを投与した群の肺MTは対照動物群の肺MT量に比べ増加を示さなかった。このようにCdの気管内注入によってのみ、肺L.O活性と肺MT量が増加した。したがって肺L.O活性と肺MT量の増加は調べた金属のうちCdに特異的であった。また肺L.O活性増加は肺MT量増加を伴うことが判明した。このことはL.O合成を調節するといわれている組織中のCuがMTによって、その組織中での代謝を調節されることを示唆する所見である。MTはヘムオキシゲナーゼ(HO)とともにストレス蛋白である。またHOはL.Oと分子量が同じである。Cd投与動物群の肺L.O抽出液に抗HO兎血清を加えると、L.O活性は正常兎血清を加えたものに比べ抑制され、抗HO血清量に比例する抑制傾向を認めた。そこでCd投与動物の肺から抽出された粗L.O液からSDS電気泳動法でL.Oを分離、この分離されたL.Oをウェスタンブロッティング法で抗HO血清と反応させ、L.Oの抗原性がHOと共通か否か目下検討中である。この結異から、肺L.OがMTやHO同様、ストレス蛋白、とりわけHOと近縁の蛋白か否かが明らかとなる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)