Project/Area Number |
63580198
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
自然地理学
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡 秀一 東京都立大学, 理学部, 助手 (50106605)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 森林限界 / 年輪 / 気候変化 |
Research Abstract |
本研究は森林限界の形成過程とその支配的気候要因を、樹木の生長量や年輪の解析に基づいて検討するために行なった。本報告では調査の中心となった富士山の例に重点をおいて述べる。 1、空中写真判読によれば、富士山の森林限界は主としてLarix leptolepisによって構成されており、その高度は斜面によって2800m〜1400mにわたっている。Larixは本来高木性の樹木であるが、森林限界以上ではわい性化してほふくし、他の山では普遍的なPinus pumilaに替って環境支配的な「わい性化した樹木帯」を形成している。この樹木帯は富士山西斜面の大沢右岸で最高2900mまで達している。 2、年輪の採取や気候景観的手法に基づく調査は、森林植生が最も高くにまで達していて西斜面の樹木限界以下数100mの高度帯で集中的に行なわれた。その内容は生長錐による年輪コアの採取および樹高、樹幹直径、樹冠の大きさなどの測定である。採取された年輪コアは測定用顕微鏡によって年輪数、年輪幅が調べられた。これらの結果、群落高(樹高)の高度変化は一様ではなく、少なくとも2750m付近にひとつのギャップが認められ、当該高度で伸長生長がおさえられていること、樹齢の高度曲線によれば2550m付近で300年、樹木限界付近で150年を示しており、この間高度が増すに従ってほぼ一様に樹齢が減少していることがわかった。 3、上述の事実から、樹高に端的に示される生育形の高度変化は樹齢には規定されず、現在の環境要因によって説明が可能であること、現在より300年前から150年前にかけて樹木限界の上昇があり、その速度は約2m/yrと予想されること、現在から150年前以降、限界線は上昇しておらず、安定期に入っていること、年輪幅の解析によれば限界線の上昇期はむしろ生長のよくない寒冷な時期にあたっていること、などが判明した。 4、今後さらに系統的な調査が続けられる必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)