人体内セレンの有害重金属類に対する生体防御的作用に関する疫学的研究
Project/Area Number |
63602519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
緒方 昭 福井医科大学, 医学部, 教授 (50084835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 洋二 福井医科大学, 医学部, 講師 (80155481)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 人体血液 / セレン / カドミウム / 水銀 / 生体防御 / 貧血 |
Research Abstract |
カドミウム(Cd)や水銀(Hg)の低濃度長期曝露を受けている人体において、栄養レベルのセレン(Se)が生体防御的作用を示す可能性があるか探るため、有害重金属に対し高濃度曝露のない一般住民女性を対象に、貧血指標に注目して検討を行った。 対象者は、大阪府内の都市地区(A地区)、福井県内の海岸地区(B地区)および農山村地区(C地区)において昭和62年6月〜10月に実施された住民健康検診の女性受診者(40〜59歳、536名)の中から、検診結果に基づき無所見群199名、貧血群(ヘモグロビン濃度<12.0g/dl)37名を選定し、年齢・職業・肉・魚の接種頻度について調査するとともに、採集した静脈血全中のSe(2、3-ジアミノナフタレンによる蛍光法)Cd(無炎原子吸光法)Hg(還元気化法)を測定した。 無所見群では、SeレベルにA>B>Cの、また、CdレベルにA<C>Bの地区差がそれぞれ認められたが、Hgレベルには有意な地区差が認められず、このような地区格差は魚・肉の接種頻度調査結果では説明できなかった。SeとCdの濃度相関は有意でなかったが、SeとHgの間に有意な正相関が認められた。ヘモグロビン濃度(Hb)に対しては、Se、Cd、Hg濃度のいずれも有意な相関性を示さなかった。 一方、貧血群では、SeとCdは低色素性または小球性貧血者において特に高い負の濃度相関を示し(r=-0.614、n=17、p<0.01)、Se/Cd濃度比はHbと有意な正相関を示した(r=0.423、n=37、p<0.01)。また、Hg濃度は正球性正色素性貧血者においてHbと強い負相関を示し、Se/Hg濃度比はHbと有意な正相関を示した(r=0.614、n=20、p<0.01)。 以上の結果は、女性貧血者において、貧血指標に及ぼすCd、Hgの有害作用に対しSeが生体防御的作用を有する可能性を示唆するものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)