化合物半導体におけるアンダーソン局在と巨大非線形光学効果
Project/Area Number |
63604516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花村 榮一 東京大学, 工学部, 教授 (70013472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住 篤子 東京大学, 工学部, 教務職員 (20114522)
小川 哲生 東京大学, 工学部, 助手
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Project Period (FY) |
1987 – 1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 超微粒子系 / 量子井戸系 / 光非線形性 / 弱局在効果 / 位相共役波 / 振動子強度 / 天然超格子 / アンダーソン局在 |
Research Abstract |
(1)3次元理想結晶においては、その並進対称性のためにポラリトンと呼ばれる励起子と電磁波の混成波を形成する。ポラリトンも励起子も調和振動子として振舞い、そのままでは光非線形応答に寄与できない。そこでこの並進対称性を破る0次元超微粒子系や2次元量子井戸系における光非線形性と緩和を計算し、速い応答と大きな3次の光非線形応答を同時に持つことが可能であることが示せた。これらの事実は、超微結晶系とアントラセンの表面第一層に局在する2次元励起子で検証された。 (2)3次元結晶のポラリトンの不純物や格子欠陥による弾性多重散乱の一つのチャンネルとその時間反転の散乱過程が相加的に干渉しあう弱局在効果と、4光波混合における探索光の時間反転波である位相共役波の発生とは深くかかわっていることが理論的に明示できた。この位相共役波の増強効果は、ポラリトンの寿命かフォノンによる非弾性散乱による寿命の間だけ働く。従って、この増強の温度依存性と入射光周波数依存性、2つのパンプ光の入射角依存性の観測がこの理論の検証に有効である。 (3)2次元励起子の共鳴励起下では、3次元の非線形分極率と放射緩和時定数ともに(L^*/a)^2に比例して増大する。ここに、L^*は励起子のコヒーレント長、aは励起子の有効ボーア半径である。従って、大きな非線形性と速い応答を同時にうるためには、励起子のコヒーレント長を長くすると共に、ボーア半径aを小さくすることが得策である。2次元量子井戸系を誘電率が小さい絶縁体でサンドイッチすると励起子効果が増大し、aを小さくでき、振動子強度が増大できることを示した。(C_<10>H_<21>NH_3)_2PbI_4でこの効果が観測された。これは、PbI_4の2次元ネットワークが飽和炭化水素系でサンドイッチされた天然超格子を形成し、コヒレント長も長く、大きな光非線形性と速い応答が同時に期待できそうである。 (4)アンダーソン局在の前駆現象としての"弱局在効果"の光非線形効果は解明されたが、更に、アンダーソン局在そのものによる光非線形効果を解明することが本研究のプロジェクトの本命である。そのためには、不純物散乱体中でのポラリトンの状態を自己無憧着に求めることから初め、その解を用いて、光非線形の特性を導くことに努めている。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)