Project/Area Number |
63604587
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 速男 東邦大学, 理学部, 教授 (60057635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 礼三 東邦大学, 理学部, 講師 (80169531)
小林 昭子 東京大学, 理学部, 助手 (50011705)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | DCNQI / 分子性伝導体 / 混合原子価 / 金属-絶縁体転移 / 反強磁性 |
Research Abstract |
分子性電気伝導体の最近の研究の流れは一方では新超伝導体開発へと発展している。昨年度採択して戴いた研究課題の報告で三つの新分子性超伝導体の発見を述べた。また他の研究の流れとしては従来にない新らしい物性研究の舞台としての分子性金属系の新奇な現象の探索がある。申請者による我国第一号の有機超伝導体θ-ET_2I_3で最近共同研究者によって発見された低温での磁気抵抗異常などはそれに該当するかもしれない。本研究課題は新らしい物性研究の舞台作りの一貫として遷移金属イオンを含み、配位構造をもつ分子性伝導体(R_1,R_2-DCNQI)_2Cuの物理化学的キャラクタリゼーションを進め本系において始めて申請者らにより指摘された分子性伝導系の新側面である2Pπ金属電子と遷移金属原子上の3d電子の共存によりどのような新らしい特性が出現しうるかを判断するための基礎データーを提供する事である。電子の磁気モーメントがどの様な振舞いをするかを検討し、従来独立な研究対象と見なされがちであった分子性伝導体の磁性と金属性という特性を合せ持った分子性結晶の物性がどのような可能性を持ち得るかと考える糸口を得る事が当面の課題である。今年度の実績を列挙すると、1)(DMeO-DCNQI)_2Cuの8Kbar以上での圧力誘起金属-絶縁体転移を詳細に調べた。2)(R,R-DCNQI)_2Cu(R=CH_3,Br)の帯磁率測定、3)DCNQ1-CU系での混晶化に伴う金属不安定化の検討を行った。これらの成果はいずれも近く発表予定である。Cuの原子価の揺ぎ(Cu^+,Cu^<2+>)やCu^<2+>の磁性発現が絶縁化と表裏一体となって出現する様に思われる事は興味深い。またPπ-d相互作用の大きさが金属-絶縁体転移温度と強い相関を持つ事も判明した。これらは皆分子性伝導系にとって新らしい側面である。また2P電子と3d電子が混りあって伝導帯を形成する事は酸化物高温超伝導体にも通じる特徴でありDCNQI-Cu系は将来の分子性伝導体の発展の方向をも示唆している。
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