ルテニウム錯体触媒反応を利用する複数不斉炭素中心の同時構築
Project/Area Number |
63607510
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 安三 東京大学, 工学部, 教授 (00010752)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐分利 正彦 東京大学, 工学部, 助教授 (90011022)
|
Project Period (FY) |
1988
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
|
Keywords | ルテニウム錯体 / 不斉水素化 / 水素移動反応 / リグナン |
Research Abstract |
1.不斉2産ホスフィンBINAPを配位子とする複核ルテニウム錯体を触媒として、1、3-ブタジエン-2、3-ジカルボン酸を温和な条件下に水素化し、光学活性2、3-ジメチルコハク酸をジアステレオマー選択率98%、エナンチオマー選択率96%で得ることに成功した。また、この反応が連続する二段階の1、2-水素付加で進行することを明らかにし、それぞれの水素化の際の選択率を求めた。次いで、2、3-ベンジリデンコハク酸の不斉水素化を同じ反応系で行ない、同様に異性体生成比を求めた。本反応の展開して、エンテロラクトンなどのリグナン類の短段階での不斉合成を現在行なっている。 複核ルテニウム錯体を触媒として、3、5-ジオキソヘキサン酸メチルの水素化を検討した。反応条件等の最適化は終了していないが、約35%の収率で(3S、5R)-3、5-ジオキシヘキサン酸メチルを得た。このものは酸処理によりα、β-不飽和δ-ラクトン体へ導くことが可能である。反応条件等をさらに検討し、コンパクチンなどを有用な生物活性物質の鍵中間体の合成法としての確立を目指している。 3.新規の錯体触媒として、〔RuH(BINAP)_2〕DF_6、RuH_2(BINAP)_2の2種を合成し、その触媒能を検討した。前者は温和な条件下にイタコン酸を水素化する触媒となり、選択率も90%e.e.以上と良好である。さらに、上記錯体はイタコン酸、ベンジリデンコハク酸、チグリン酸などの不飽和カルボン酸を、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどをアルコールを水素源とする水素移動反応によっても温和な条件下に水素化することを見いだした。この反応によるイタコン酸、ベンジリデンコハク酸の水素化の選択率は90%e.e.を越え、この種の反応としては数例のない高いものである。本反応の適用範囲の拡張と精密化、さらに複数官能基の同時水素化などにつき検討する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)