有機クロム反応剤による高効率的新規増炭素手法の開拓
Project/Area Number |
63607518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内本 喜一朗 京都大学, 工学部, 教授 (90025958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (00144329)
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | クロム / 有機クロム化合物 / ビタミンB_<12> / 1,2-ジオール / 立体選択性 |
Research Abstract |
有機金属化合物のカルボニル基への官能基あるいは立体選択的な求核付加反応は、最も有効な選択的増炭素手法である。この研究では有機金属反応剤として有機クロム化合物を取りあげ、その高選択的な合成反応への応用について検討した。主な研究実績を以下に列挙する。(1)従来、有機クロム反応剤の調製法としては、有機リチウムやマグネシウムからの金属-金属交換と、低原子価のクロム塩による有機ハロゲン化物の還元の二通りの方法がある。温和な条件下に有機クロム反応剤をつくり出す手法としては後者が望ましいが、クロム(II)塩の還元力があまり強くないために、還元される有機ハロゲン化物としては活性なものに限られていた。ハロゲン化アルケニルは還元されにくいハロゲンであるが、クロム(II)塩とともにニッケル触媒を用いることにより、すみやかにアルケニルクロム反応剤へと変換できることがわかった。このと遷移金属による触媒作用を検討した結果、ビタミンB_<12>などのコバルト触媒を用いると、ハロゲン化アルキルからアルキルクロム反応剤を調製できることを見いだした。この手法を用いると、温和な条件下に官能基選択的なアルキルクロム反応剤がつくり出せる。(2)1,1-ジクロロ-Z-ブテン類をクロム(II)塩で還元すると、α-クロロアリルクロム反応剤が調製できること、さらにこの反応剤とアルデヒドの反応では、トレオでZ型の付加体が高い立体選択性で得られることを見いだした。新しい鎖状化合物の立体選択的な合成手法である。(3)アクロレインジアルキルアセタールをルイス酸共存下にクロム(II)塩で還元したところ、γ-アルコキシ置換アリルクロム反応剤が得られることを見いだした。この反応剤はアルデヒドと反応してエリトロ型の1,2-ジオール体を選択的に与える。1,2-ジオールの部分構造は多くの天然物に含まれるものであり、その立体選択的な合成法の開発は重要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)