Project/Area Number |
63612509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
横井 弘 静岡大学, 工学部, 教授 (30006308)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 金属クラスター / 水溶性高分子 / 高分子錯体 / 高分子-金属複合体 / 機能性材料 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、標題に沿っての以下の四つの内容について主に研究した。第一は、PVA-水酸化鉄(III)錯体の熱分解反応の研究である(PVA:ポリビニルアルコール)。この錯体は、200℃の低温でも容易に触媒的に熱分解し、空気中では、脱水反応が先行し、次いで、脱水生成物の酵素による酸化的発熱反応がおき、COとCO_2を発生する。これら両反応とも触媒的に進行し、反応過程で水酸化鉄(III)からマグネタイ様鉄酸化物が生成し、それが触媒となって周囲のPVA分子を分解すると考えられる。このように、触媒化学的にも極めて興味深い反応系である。第二は、PAA-Fe(III)イオン系ゲルの生成とゲル化機構に関する研究である。(PAA:ポリアクリル酸)。PAA水溶液にFe(III)イオンを添加していき、赤褐色の透明均一ゲルの調製に初めて成功した。このゲルにおけるPAAとFe(III)イオンの相互作用様式を種々の方法で検討した結果、Fe(III)イオンは塩基性酢酸鉄に似たクラスターを形成しており、それがPAA鎖の三次元的網目構造の架橋点となってゲル化現象がおきることが判明した。第三は、PVAと無水硫酸ナトリウムの相互作用の研究である。硫酸ナトリウムを微量に含むPVA水溶液にアセトンを注入してPVAを析出させると、そのPVAは無水硫酸ナトリウムの微結晶を捕捉している。即ち、PVAと無水硫酸ナトリウムの微結晶間には、ある種の相互作用が存在し、それは走査型電子顕微鏡観察でも明瞭に確認できた。このように、PVAの相互作用系は通常の無機塩結晶にまで拡大した。第四は、PVA-マグネタイト複合体水溶液のキャスト膜について、透過型電子顕微鏡監察をおこなった。その結果、40〜100〓径のマグネタイト超微粒子の生成が確認できた。以上のように、どの研究内容についても、本研究の主旨に沿った形で、画期的と思える興味深い研究結果が得られた。
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