自己複製の最小単位としてのマイコプラズマのゲノム解析
Project/Area Number |
63615509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山尾 文明 名古屋大学, 理学部, 助手 (10158074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 〓 名古屋大学, 理学部, 助教授 (80034635)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | マイコプラズマ / 転移RNA / アンチコドン構成 / ゲノム解析 |
Research Abstract |
Mycoplasma capricolumの28種のtRNAの一次構造を決定し、そのアンチコドンが一般の真正細菌とは違う以下の特徴を明らかにした。(1)4ーcodon boxに対応するtRNAはアンチコドン5'端が未修飾UのtRNA1種である。(2)スレオニンの4ーcodon boxにアンチコドン5'端が未修飾AのtRNAが存在する。これは原核生物においては特異な存在例である。(3)アルギニンコドンCGGに対応するtRNAが存在せず、これがこの微生物ではナンセンスコドンとなっている可能性がある。(4)アンチコドン5'端にCを持つtRNA種が少ない。これらはいずれもマイコプラズマゲノムのゲノム量を縮少する方向への進化的圧力、ゲノムGC含量減少への変異圧及び、その結果としてのコドン使用頻度の偏りによって、アンチコドン構造と構成が影響を受けたためと考えられる。生物界での特異な位置にある一個の細胞中での全てのアンチコドン構成が明らかになったことにより、これの大腸菌との比較からアンチコドンのコドン認識機構はWobbleのルールをも含めてかなりの柔軟性を持って対応、変化しうること、さらにその極端な場合にはナンセンスコドンを介して、ある種のセンスコドンの意味が変化するメカニズムと可能性が示唆される。各tRNA分子種の定量化によりアンチコドンの動的変化と遺伝情報の発現との相関を今後の課題とすると共に、パルスフィールド電気泳動法を用いた制限酵素地図を早急に完成せ、上記tRNA遺伝子をその染色体にマップしたい。その結果はGC含量の変化から変形した特異な遺伝システムを持つこの細菌の遺伝学的解析の基盤をなすものであり、ゲノムのコンパクト化を受けた特異な例を通して細胞の自己増殖という最も基本的な属性とその進化の理解のために極めて有用な系を提供し、細胞複製の総合的理解に貢献できると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)