H^+輸送性ATPaseによる細胞内pH調節機構の遺伝学的研究
Project/Area Number |
63617502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 弘 千葉大学, 薬学部, 助教授 (00090473)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | Enterococci / 細胞内pH調節 / H^+-ATPase / クローニング / トランスポーソン |
Research Abstract |
ATP合成酵素であるH^+輸送性ATPase(F_1F_0+complex)は広く生物界に分布している酵素である。嫌気性菌Enterococciにも同じ酵素が存在している。しかし、本菌のATPaseはATP合成を行っているのではなく、ATPを分解しH^+を細胞外に排出することにより細胞内pHの調節を行なっている。細胞内pHの低下によりATPaseの遺伝子の発現が誘導され酵素量が増加する。さらに低いpHで酵素活性が促進され、H^+の排出が増加する。このことにより細胞内pHが上昇し細胞内は中性に保たれる。この調節モデルを検証するためにコンピューターによるシミュレーションを行なったところ、細胞内pH調節の最も重要な因子はH^+-ATPase遺伝子の発現調節であることがわかった。 H^+-ATPaseの遺伝子発現の調節機構を明らかにするために遺伝子のクローニングを試みた。まず本酵素に対する抗体を用いてクローニングを行なったが、クローンを得ることができなかった。その理由は、用いた抗体がホストである大腸菌の蛋白と反応したためである。そこで次に、トランスポーソンの挿入により遺伝子を不活化することによりクローニングを行なうことにした。まず新たに開発した方法によりトランスポーソン(Tn917)を含むプラスミドを接合によりEnterococous faeciumに導入した。次にエリスロマイシンによりTn917の転移を誘導した後H^+-ATPaseの欠損変異株を分離した。分離した株はいずれも酵素活性酵素量とも野性株に比べて低く、また復帰変異株の出現も低いことから目的とする株であると思われる。さらに変異株のDNA上にTn917が検出できた。この変異株よりTn917を含む遺伝子断片のクローニングを行なっている。 今後は、得られたクローンを用い活性のある遺伝子をクローン化することにより、遺伝子発現の調節機構を明らかにしていきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)