心筋細胞内結合型ATPの虚血時における変動とその役割
Project/Area Number |
63624509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田川 邦夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40028296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 正博 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | Ahoxia / Peoxygenation / 酵素漏出 / 心拍動 / 機械的ストレス / ATP / Bleb |
Research Abstract |
虚血時における心筋細胞障害の細胞生化学的過程を明らかにすることを目的として、ランゲンドルフ型ラット潅流心モデルを用いた実験を行った。無酸素潅流を続けると、約30分後からLDH cASTのような細胞内酵素の潅流液中への漏出が起こる。その漏出量は時間とともに増大する。しかし、一定時間無酸素潅流を行った後再酸素潅流を行うと、無酸素状態を続行したときより遙かに多量の酵素の漏出がみられる。この現象は酸素パラドックスと呼ばれ、再酸素化時に発生するオキシラジカルによる細胞構成要素の崩壊によるものと説明されてきた。しかし潅流に用いたKrebs-Henseleit液に25mMのK^+を添加して、心拍動を起こらないようにして再細胞潅流を行うと、酵素の漏出量は拍動が起こるときに比較して半分以下になることが今回の実験で明らかになった。また、高濃度K^+の存在で拍動を停止させた状態でも、左心室内に挿入したバルーンにより人為的に機械的ストレスを加えると、自然拍動再開と同じような多量の酵素漏出が起こることを確認した。拍動停止下での細胞内酵素漏出の低下が微小循環障害によるno reflow現象によるものでないことは、無酸素下で心筋内に蓄積した乳酸の潅流液への排出が心拍動の有無によってあまり変動しないことから確かめられた。低K^+濃度潅流で心拍動の自然再開時の酵素漏出量は無酸素状態の時間に比例して増加するので、心拍細胞内ではATPレベルの低下に伴うNa^+やCa^<2+>等の細胞内流入により、細胞構造とくに細胞膜の脆弱化が進行していることが示唆される。すなわち、細胞内酵素の漏出は脆弱化した細胞膜が機械的ストレスにより破壊するためと結論される。この脆弱化の細胞学的実体は虚血肝ですでに報告したような細胞表面膜blebであると推察されるので、今後はラット潅流心モデルにおいて細胞内ATPの減少に伴うCa^<2+>濃度の上昇と、bleb形成との関係を追求する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)