Project/Area Number |
63624515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
明楽 泰 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児茉理研究部・セン (10192923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 千尋 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児茉理研究部・中毒, 研究員 (70150571)
福島 義博 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児茉理研究部・中毒, 室長 (40114780)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 心筋障害 / カルシウム過負荷 / ジギタリス中毒 |
Research Abstract |
カルシウム過負荷が心筋細胞の機能障害を起こす機序を明らかにするため、犬の摘出心筋標本を用い、中毒量のジギタリスによって起こるカルシウム過負荷をモデルとして実験を行った。犬の心筋細胞膜に対するouabainの結合遊離は遅いので、安定したカルシウム過負荷の状態を得ることが出来るPurkinje繊維では30nMのouabainによって強心作用が発現し、その後約40分経って、弱心作用、oscillatory afterpotential(OAP;研究費で購入した機器を用いて記録、解析)、oscillatoty after contraction(OAC)が認められた。しかし、摘出心房筋または心室筋標本では50nM〜100nMのoubainによってOACは認められたが、数多くの細胞から膜電位を記録してもOAPは観察されなかった。刺激頻度を増加するとOACは増強されたが、それでもOAPは発生しなかった。この結果はOAPがOACの原因であるという仮説と相反するものである。筋小胞体からのカルシウムの遊離を抑制するといわれている高濃度(100nM)のryanodineは心房や心室筋でOACをpurkinje繊維でOAPおよびOACを完全に取り除いた。また、ryanodineは正常の心筋では弱心作用をしめすが、カルシウム過負荷の心筋では収縮力を増加した。OAPはverapamil,nifedipineなどによって抑制されたが、これらの薬物はOACには影響を及ぼさなかった。以上の結果はジギタリスの過量による弱心作用、OAP、OACは共に筋小胞体のカルシウム過負荷によっておこるが、OAPとOACとの間には直接の因果関係が無いことを示すものである。臨床的なジギタリス中毒による心室性頻脈はPurkinje繊維のOAPが閾値に達して心室筋に伝達することによるので、モルモットのLangendorff潅流標本を用いてジギタリス中毒にたたいするryanodineの影響を調べたところ、ryanodineはかえって不整脈を悪化した。これは、ryanodineとouabainの併用によって自動能が高まり、刺激頻度を上回るようになる為である。
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