Project/Area Number |
63628513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大場 茂 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (50146578)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 乱れ / X線構造解析 / プログラム開発 |
Research Abstract |
結晶場におかれた分子が化学変化を起こす際には、分子がある程度動けるような空間が必要である。このため結晶構造の周期性が乱れる。この動的な結晶場を立体的に解析する1つの方法としてX線構造解析がある。ところが、大きな乱れをともなう構造に関しては実験および解析方法が充分に確立されていない。 そこで本研究では2種類の金属錯体を例にとり、冷却による結晶構造の周期性の改善の可能性を検討した。また、結晶内の空洞の位置や大きさを調べるプログラムAPSを開発し、構造の乱れと結晶内の空洞との関連を検討した。 1.プロピオン酸銅(II)水和物のエチル基の乱れ 297Kと120Kで構造再決定を行った。結晶は単斜晶系で空間群はP2_1/c、Z=8であり、末端のエチル基の方位が大きく乱れているためR因子はいずれも0.072であった。 低温の方が乱れ具合は多少改善されているが、乱れは残っている。 格子定数の温度変化に関してはa,c軸に比べてb軸が異常に縮む事、および銅原子のb軸方向の温度因子が低温でも減衰がにぶい傾向にある事などから、結晶全体の静的な乱れがb軸方向に存在すると推定された。 本研究で開発したプログラムAPSを用いて、エチル基の乱れの温度変化と格子定数の温度変化の異方性とをある程度関連付ける事ができた。 この研究を通して、結晶内の乱れの程度や方向性は、格子定数の温度変化を調べる事によって測定可能である事が示された。 2.1、4、7、10-テトラアザシクロペンタデカンを配位子に含むCo(III)錯体 マクロサイクリックな四座配位子(N_48)を含むCo(III)錯体、trans-〔CoCl_2(N_48)〕^+の8員キレート環にはかなり複雑な乱れが観測された。boat-boat(BB)形が40%でtwist-boat-chain(TBC)形が60%であった。ところが113KではすべてTBC形になる事が構造解析による示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)