酸化物高温超伝導体における電子間相互作用と電子・格子相互作用の協力効果
Project/Area Number |
63631503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉本 義夫 東北大学, 工学部, 助教授 (70111250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 剛 東北大学, 工学部, 教授 (00005240)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1988: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / ポーラロン効果 / 超交換相互作用 / t-Jモデル / 変形ランチョス法 / 一粒子励起スペクトル / 角度分解光電子放出スペクトル / 電子相関 |
Research Abstract |
本研究では、強い電子相関と電子・格子相互作用の協力ないしは干渉効果を明らかにすることを目的として段階を踏んだ作業と考察を行なった。頻出する積分計算と行列の数値的扱いには、パソコン端末を通じて東北大学の大型計算機を使用した。結果のグラフ化には、パソコンとインクジェットプリンターを多用した。また出張により、他大学の研究者と最新の情報交換を行うことができた。以下、具体的な成果を述べる。 (1) 2正孔系において、交換相互作用とポーラロン効果の協力により、束縛状態が形成される可能性を示した。銅の3d準位と、酸素の2p準位が接近していると、S波の束縛状態がd波よりも安定になることを示した。 (2) 多電子系に対して、フェルミ準位近傍の状態のみを含む有効ハミルトニアンを導出した。3dと2p状態の混成だけでなく、隣り合う2p状態間の混成が重要な効果をもたらすことを示した。 (3) 上記の有効ハミルトニアンに一種のスピン波近似を適用し、一粒子励起スペクトルの波数依存性を求めた。 (4) 上記(2)、(3)と相補的な知見を得るため、銅サイト4、酸素サイト8から或る正方格子クラスターを数値的に厳密に扱い、正孔の個数とスピンに応じた基底状態エネルギーと波動関数を求めた。特に2p電子同士の混成とクーロン斥力の効果が、正孔対形成に及ぼす影響を明らかにした。 (5) 上記(4)で得られた基底状態からの一粒子励起スペクトルを、数値的に厳密に求めた。スペクトルの波数依存性を、(3)の近似解、バンド理論及び角度分解光電子放出スペクトルと比較して検討した。 これらの成果のうち、(1)と(2)の一部は、国際会議議事録及び出版論文に公表されている。また(3)以下については、平成元年度に出版論文として公表することを予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)