Project/Area Number |
63631513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 厚子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 せつ お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (90017195)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1988: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 高温超伝導体 / イットリウム系酸化物超伝導体 / メスバウア分光 / 超伝導発現機構 |
Research Abstract |
本研究の特徴は、YBa_2(Cu_<0.95>Fe_<0.05>)_3O_<7-8>を真空中300℃で熱処理をすることにより、メスバウアスペクトルがどのように変化するかを調べたことにある。主な成果は以下の通りである。 1. この系で第一に問題になるのは、Feの置換位置である。いろいろな測定結果を総合して、最近では、FeはCuを置換していると考えられている。しかし、4種類の四重極タブレットのいずれがCu1またはCu2位置のFeであるのかについては、実験の解釈に曖昧さが残っている。それは、4種類のタブレットが重畳していて、吸収線の位置の同定を正確に行うのが難しいからである。そこで本研究では、吸収線の位置の正確な同定をすることはさけて、真空中300℃の熱処理前後でメスバウア吸収の絶対値を測定して、両者を比較する方法を選んだ。この熱処理によって、通称D-2と呼ばれるタブレットの強度が減少し、逆にD-1の強度が増加した。この熱処理では(1)Cu1位置のまわりの酸素のみが抜ける(2)Feは置換位置を変えない、ことを考慮すると、我々の実験結果から、D-1、D-2(全吸収の約70%)は共にCu1を、またD-3(20〜25%)はCu2を置換したFeによるものであることを疑問の余地なく結論づけることができる。プローブとしてのFeの置換位置が確定したことは、重要な成果である。 2. Feをドープした試料では、低温で超伝導と磁性が共存する。両者が真の共存であるかどうかは、超伝導の発現機構と深く関わる重要課題である。我々は、上記の熱ょりによって磁気転移温度が変化しないことを見いだした。熱処理によるメスバウアスペクトルの変化から、Cu1のまわりの酸素が相当量減少していると考えられるにも拘らず、磁気転移点が変化しないという事実は、Cu2スピンのゆらぎが磁性に関与していることを示唆している。しかし現段階では、超伝導と磁性に同じCu2が関係しているかどうかは判定できなかった。
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