Project/Area Number |
63641515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 智幸 京都大学, 医学部, 講師 (40092415)
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Project Period (FY) |
1988
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1988)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1988: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | セロトニン / 運動ニューロン / パッチクランプ / スライス / 内向き整流 |
Research Abstract |
ラット脊髄より厚さ約120μmの横断スライスを作製し、ノマルスキー顕微鏡により運動ニューロンを直視下に同定して、パッチ電極によるwhole cell記録法によって膜電位、または膜電流を記録した。潅流液にセロトニン(10μM)を投与すると、脱分極が生じ、閾値に達して活動電位が高頻度に誘発された。したがってセロトニンは運動ニューロンに対して興奮作用を発揮することが明らかとなった。セロトニンの運動ニューロン興奮作用は、潅流液のCaをMgで置換してシナプス伝達を遮断の後にも認められることから、セロトニンは介在ニューロンを介することなく、運動ニューロンに直接作用すると結論された。電位固定下にセロトニンを投与すると、固定電位-70mVにおいて、内向き電流が記録された。内向き電流は膜入力コンダクタンスの増加を伴っており、増加の程度は過分極方向に顕著であった。したがって、セロトニン誘発電流は、静止膜電位より過分極側で開口確率の増加する、内向き整流チャネル電流の性質を有することが明らかになった。そこで、運動ニューロン固有の内向き整流の性質を解析した。膜電位を過分極すると、約2.5secの時定数で進行する内向き電流が記録された。この電流の平衡電位は、静止膜電位より15mV以上脱分極側であり、細胞外KおよびNa濃度に依存して変化することから、運動ニューロンの内向き整流はKおよびNaにより運ばれると結論された。この内向き整流は潅流液のCs(2-10mM)によって完全に消失したが、Ba(2mM)には影響されなかった。運動ニューロン固有の内向き整流同よう、セロトニン誘発電流はCsによって消失、Baの影響は受けなかった。内向き電流とセロトニン誘発電流の反転電位を比較したところ、両者は、ほぼ一致した。以上の結果を総合すると、セロトニンに運動ニューロン固有の内向き電流活性化機構により、運動ニューロン興奮作用を発揮すると結論された。
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