Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は、イミン窒素をアントラセンの1-,9-および10-位に3個含む1,9,10-アンチリジンを基本骨格とする元素ブロックを創製し、その特異な水素結合形成能に基づく超分子構造体の構築、および化学的・電気化学的性質の特徴を活かした機能性材料への展開を目的としている。本年度は、昨年度に引き続き1,9,10-アンチリジンのc-およびh-位にベンゾ基を縮環させたジベンゾ[c,h]アンチリジンを主鎖に含むジグザグ型ポリマーを用いた超分子構造体の構築および発現した物性について検討を行った。1,9,10-アンチリジン骨格を含むポリマー型元素ブロックに対し、三重水素結合を形成しうる分子である2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール(ArOH3)を両末端に含む棒状分子を作用させることで、水素結合形成による会合体の生成が見られた。この超分子構造体の形成を石英基板上で行い、AFMによる観察では、微細構造の確認には至らなかったが、ディップコートにより作成した膜は非常に平坦であることが明らかになった。Poly-AnthFluの溶液に対し、ArOH3 ユニットを両末端に含む棒状分子 C8(OH3)2 を添加すると、λ = 500 nm付近の吸収が増大し、溶液の色が黄色から赤色に変化した。この現象を明らかにするため、濃度変化、塩基の添加等について検討した結果、濃度の変化に対する応答が弱いこと、トリエチルアミンの添加によりこの吸収帯が消失することから、アンチリジン部位の水素結合形成によってアンチリジンとフルオレンで形成されるπ共役系に変化が生じ、分子内電荷移動相互作用によりこの変化が現れたと結論付けた。以上、本研究ではこれまでにほとんど研究例のない1,9,10-アンチリジン骨格を含む元素ブロックポリマーの開発に成功し、その水素結合形成能、π共役系に基づく機能発現について明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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