Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究の目的は、ブラックホールに別の物体が飲み込まれるなどしたときに発生する重力波信号を、従来のものより効率のよい解析手法で検出することである。平成27年度から2年間の計画で、新しい解析手法の開発に挑み、条件付きではあるが、改善が見込まれることをシミュレーションによって明らかにした。ブラックホールは、その質量とスピン速度でその振動の周波数(準固有振動)は決まっており、別の物体を飲み込んだ際は、その単振動が急速に減衰するリングダウン波形と呼ばれる重力波を発生する。従来の解析手法は、準固有振動の基本モードのみを用いていたが、最近の数値相対論による研究で、高次モードの信号もそれなりに大きな振幅を持ちうることが明らかになり、本研究では基本モードと高次モードを同時に解析することで、検出効率を改善することを目指した。初年度は情報収集に徹したが、H28年度は、Advanecd LIGOグループが公開した第一回観測(O1)の実データを用いて、パーミュテーションテストを実施した。具体的には、異なる時間の実データを入れ替えて装置特有の非定常雑音を減らし、LIGOの感度に基づいたガウシアン雑音のみの雑音データを生成、そのデータに人工的に生成したリングダウン信号を挿入し、基本モードのみで解析したものと、高次モードを含めて解析したものを比較する、というものである。検出効率の改善というのは、挿入した信号をその通りに検出できるかどうかだけではなく、信号を挿入していないときに検出を示すFalse Alarmが少ないかどうかも合わせて判断される。検出率と誤検出率を二軸としたROC曲線というものを算出し、検出率が高く誤検出率が低い方にあれば、よい解析手法であると言える。我々の計算では、ある条件下では、高次モードを導入することでROC曲線がよい方へシフトすることが分かった。詳細については、現在論文を準備中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2016
All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)