Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
プラズマ照射は、がん細胞のアポトーシス誘導や皮膚損傷の治癒に有為な効果を示す。また、細胞膜に作用して細胞へのDNA等の物質の取り込みを促進する。これらの効果を生み出す「プラズマと生体組織の反応」の分子メカニズムには不明な点が多い。プラズマ照射の遺伝毒性に関する安全性評価の研究基盤を提供することを目的として、平成28年度は、マウス個体およびヒト細胞を用いて下記の2つの実験系でプラズマ照射によるDNA損傷や突然変異の解析を行った。(1)マウス皮膚組織に対するプラズマ照射の影響 プラズマ照射は、遺伝子DNAを酸化して突然変異を誘発する酸素ラジカルや窒素ラジカルを発生させる。皮膚に対するプラズマ照射の影響を検討するために、空気プラズマ照射装置を用いて脱毛したマウス皮膚に8分間照射して、1時間後に安楽死させたのち解剖して皮膚組織の標本を作製し、HE染色および抗リン酸化H2AX抗体免疫染色を行った。照射中心部位では表皮細胞の核は非照射と比較してHEでは非常に弱く染色された。また、抗リン酸化H2AX抗体では全く染色されず、ネクローシスの可能性が考えられた。照射周辺部では非照射と比較して抗リン酸化H2AX抗体で非常に強く染色され、多くのDNA損傷が誘導されることが解った。プラズマ照射されたマウスの皮膚では顕著な突然変異頻度の上昇は認められなかったが、実際にヒトに照射する場合には、DNA損傷の誘発を防ぐ照射法の確立が必要と考えられる。(2)ヒト細胞を用いたプラズマの影響 細胞へのDNA導入に有効なプラズマ源をHeLa細胞に照射して、HPRT遺伝子座を指標とした突然変異解析を行った。DNA導入が認められる10秒照射群では突然変異の上昇は認められなかったが、30秒照射群では、5~10倍の突然変異頻度の上昇が認められた。実用化には、突然変異が誘導されないプロトコールの作成が必要であると考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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