Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
物理学にとって現在最も重要な課題のひとつであるニュートリノ質量決定のため、原子核の二重ベータ崩壊を利用する方法がある。もしニュートリノがマヨラナ粒子であれば、この崩壊を実験で測定し、原子核行列要素と位相空間因子を理論的に計算することによってニュートリノ有効質量が求められる。この原子核行列要素の値は、原子核の波動関数を求める近似方法によって因子2から3の違いがあることが知られており、このニュートリノ質量決定にとって大きな問題である。本課題実施者らは、この問題の解決をめざして、準粒子乱雑位相近似と殻模型の原子核行列要素計算の詳細を比較する研究を開始した。前者の計算は寺崎が、後者は岩田が担当した。岩田は平成27年度に48Ca->48Tiの原子核行列要素を計算し論文を出版した。寺崎もこの崩壊例の計算を行っており、暫定的な計算結果を算出し岩田の計算結果との比較について、平成27年度に4回の会合をもって議論を行った。二つの方法は相当に異なるので、比較を可能にするための共通認識と波動関数の表現方法についての議論にかなりの時間がさかれた。明らかになった重要なことは、48Ca->48Tiでは、他のより重い核の原子核行列要素に比べて、二つの方法による違いが小さいということである。(因子2よりも小さい。)また、基底状態波動関数の多体成分のなかでどのような成分が原子核行列要素に寄与するかということも議論された。ここでは、陽子と中性子両方を含む二粒子・二空孔成分の重要性が明らかになった。もう一人の参加者である日野原は、生成座標の方法を用いて48Ca->48Tiの計算をしようとしているが、魔法核では他の核の計算にない注意が必要で、その方法について考察中である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2016 2015
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results)
Physical Review Letters
Volume: 116 Issue: 11 Pages: 112502-112502
10.1103/physrevlett.116.112502
Physical Review C
Volume: 93 Issue: 2
10.1103/physrevc.93.024317