Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
細胞内物質輸送のナビゲーション機構は、これまでほとんど判っていなかった。我々は、これまで、神経細胞の軸索輸送をモデル系として、軸索へと輸送される小胞が、どのような機構で軸索へと輸送され、樹状突起へ輸送されないのかを解析してきた。その結果、微小管がGTP結合状態とGDP結合状態で異なる構造をとることが示され、この構造状態の違いが細胞内物質輸送を担う分子モーターkinesinによって認識され、道標として機能するという仮説を提唱するに至った。本研究では、この仮説が、神経細胞に限らず、動物細胞全般に適用できるかを、動物培養細胞のアメーバ運動による細胞極性形成との関連から研究してきた。まず、細胞内で一本一本の微小管とkinesinの一分子が結合する反応速度定数を直接計測する新規顕微鏡システムを構築し、細胞内で微小管とkinesinの結合反応速度計測に成功した。その結果、動物培養細胞の中にkinesinへの結合速度が異なる4種類の微小管が存在することが示された。同じ方法でin vitroでの微小管とkinesinの結合反応速度計測を行った結果と比較することで、GTP結合状態とGDP結合状態による微小管構造状態の違いは、4種類の中の2つに相当することが示された。細胞内では、in vitroに比べて、更に結合を抑制する制御と促進する制御が存在することで、合計4種類の微小管へと機能分化することが示唆される。これは、いわば短期記憶と長期記憶に相当する二重のシステムで、外界の変化に対する柔軟な応答性と一定方向への運動を持続する恒常性を両立させるために有効な制御系であると考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2016 2015
All Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 8 results) Book (1 results)