Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
老齢化による成体神経幹細胞および新生ニューロンの減少は、認知機能(特にパターン識別学習・作動記憶など)の低下やうつ・不安障害など精神疾患の要因となると考えられている。従って、高齢化社会を迎えた今、成体神経幹細胞の長期維持メカニズム(「抗老化システム」)とは何か?を解明することは非常に重要である。我々は先行研究において、成体神経幹細胞の胎生期における起源細胞を世界で初めて同定した(Furutachi et al. Nat. Neurosci., 2015)。胎生期に脳発生が終了すると消滅する他の胎生期神経幹細胞とは異なり、この成体期神経幹細胞の起源細胞においては「長期維持(抗老化)システム」が働いていると予想される。そこで本研究では、「胎生期神経幹細胞」と「成体神経幹細胞の起源細胞」の違いを調べ、成体神経幹細胞系譜に特有の長期維持システムを明らかにすることを目指した。まず、胎生期に一過的にニューロンを産んで消滅する「胎生期神経幹細胞」と、生涯にわたりニューロンを産生し続ける成体神経幹細胞の「胎生期起源細胞」を単離し、これらの細胞群の遺伝子発現プロファイルを調べた。既に細胞集団レベルでの予備的な結果を得ていたので、昨年度は単一細胞レベルでの解析に取り組んだ。解析の各過程(細胞の単離やmRNAの増幅など)の条件検討を行い、それぞれが正しく機能することが確認された。今後、単一細胞レベルでの遺伝子発現情報を元に長期維持システムの実体に関わるメカニズムを解明する。また、我々は既に起源細胞ならびに成体神経幹細胞において高発現している遺伝子群の中に、細胞周期に関わる興味深い分子(p57)を同定している。そこでp57が成体神経幹細胞の長期維持(抗老化)にいかなる分子メカニズムで寄与するか検討するため、胎生期神経幹細胞にp57の過剰発現を行い遺伝子発現プロファイルの変化を網羅的に検討した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2016 2015
All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results) Book (2 results)