Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
長江下流域において、稲作農耕の発展を背景にカモ科鳥類と人のかかわりがどのように変化したかを明らかにするために以下の調査・研究をおこなった。1.跨湖橋遺跡(約8,000-7,000年前)出土の鳥骨を肉眼比較により同定した。8目9科を確認し,ガン族が約47%ともっとも主体的であり,これにツル科(約21%)とカモ亜科(約14%)が続くことが分かった。昨年度までに調査した田螺山遺跡,良渚遺跡と比較すると,跨湖橋遺跡ではツル科の利用がとくに顕著であったことが読み取れる。田螺山遺跡や良渚遺跡で認められたガン族の幼鳥や若鳥と考えられる骨は検出されなかった。2.コペンハーゲン大学自然史博物館(デンマーク),ヒストリックイングランドおよびサザンプトン大学(ともにイギリス)でガン類の幼鳥の骨を調査した。その結果,少なくとも田螺山遺跡と良渚遺跡から出土した各1点のガン類の骨は4週齢~8週齢の幼鳥に由来し,越冬地に渡る以前に死亡した個体のものと考えられた。現在のガン類の生態から野生のガン類が長江下流域で繁殖するとは考えにくいことから,これらの個体は家畜個体(ガチョウ)に由来するものと考えられる。3.田螺山遺跡から出土したガン族の骨(成鳥と前述の幼鳥3点を含む)の酸素同位体比を測定した。その結果,ガン族の成鳥の骨に田螺山の哺乳類の酸素同位体比の範囲に含まれる資料群(A群)、哺乳類よりも低い資料群(B群)、それらの資料群よりさらに値の低い資料群(C群)が認められた。この結果はA群が周年長江下流域周辺に生息した個体、C群が初年に繁殖地から飛来した個体、B群が何度か渡りをした個体と解釈できた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2016
All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)