Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
大腸菌細胞極には10,000分子以上レセプターが存在し,それらが全くランダムかつ確率的に活性化した場合,細胞内のCheY-P濃度の増減はおこらず,ある値に平均化されてしまうはずなので,細胞内情報伝達物質CheY-P濃度のダイナミックな増減を生みだすためには,10,000分子以上が集まったレセプターがレセプタークラスター内部の協同性によってあたかも巨大な少数の分子のように振る舞う(1分子のレセプターの活性化および不活性化が10,000分子のレセプター全てに伝搬する)ことが想像される.このことは多数分子のクラスタリングによる新たな機能発現という観点からも非常に興味深い問題である.我々はシミュレーションによる化学物質の振る舞いを明らかにした.基本的には拡散運動によるシミュレーションであるが,細胞内・間においては高い協同性が指摘されている.我々は受容体の高い協同性に着目し,受容体の単純な4状態モデルに隣接する受容体の協同性を加えたモデルを構築し,その活性化の動態シミュレーションを行ったところ,パッチ状の活性化状態の出現を実現することができた.さらに数%の性質の異なる分子をランダムに配置したところ,自発的振動現象が濃度に応じて減少することを確認した.この結果は受容体の変異体を共発現した実験結果と定性的に一致した.しかしながらその濃度依存性については協同性に関して異なっており,実際にはレセプター下流の拡散運動,モーターへのCheY-Pの協同性を考慮する必要がある.今後の課題として,このモデルの最適化を図り,受容体のごく一部の受容体の集合を刺激した場合の応答などを計算し,実際の実験結果との比較を行っている.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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