Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
酸化物ナノシートと遷移金属ダイカルコゲナイドナノシートのヘテロ接合体の作製とその物性解析を中心に研究を行った。酸化物ナノシートとしてはCa2Nb3O10(CNO)とTiO2、遷移金属ダイカルコゲナイドナノシートとしては、MoS2とWSe2を用いた。ヘテロ構造の作製では、まず、MoS2とWSe2をCVD法でSiO2/Si基板上に成長させ、つぎにラングミュアブロジェット法により、単層酸化物ナノシートをさらに堆積させた。これらサンプルについて発光スペクトル測定を行ったところ以下の興味深い結果が得られた。まず、CNO被覆前のMoS2では単層に特有のエキシトン発光バンドが1.8 eV付近に確認されるが、CNOで被覆することによりエキシトン発光バンドがほぼ消滅すると同時に1.65 eV付近にブロードな発光バンドが観察された。一方、LB成膜後もCNOで未修飾のMoS2では発光スペクトルの変化が観察されなかった。ラマン分光からCNO/MoS2ヘテロ構造では、MoS2層中への電子ドープが確認され、CNO層とMoS2層との界面を介した相互作用の結果としてトリオン発光が観察されたと解釈される。このサンプルを450oCで熱処理すると、1.65 eV付近の発光が消光し、未処理のMoS2$に比べて0.5 eV程度低エネルギー側に鋭いエキシトン発光バンドが観察された。また、ラマン分光から熱処理後では、処理前に見られた電子ドープ効果が無くなり、Mo2単層サンプル同様のスペクトルを示した。したがって、熱処理による発光スペクトルの変化は層間に位置するTBAがNH4+に熱分解したことでCNO/MoS2の層間相互作用が大きく変化したことを意味する。AFM観察から熱処理後でも層間スペースの厚さは約0.5nmと熱処理前とほぼ同様であることからも、層間にNH4+が存在することが示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。